第112話 鎌鼬⑤
オレが手招きをすると、『隕晶』の
「――『
未だに『
だが、まだまだ終わらない。終わらせない。
オレが右腕を横に振るうと、『晶棘』から垂直方向に再び『晶棘』が伸びた。
それに合わせ、『隕晶』の体積も小さくなる。
こればかりは
……いや、間一髪、両手の長い爪を交差させることで防いだようだ。
だが、勢いは消せていない。
そのまま
穴の向こうからムクリ……と体を起こす
水晶をすべて『晶弾』に変化させ、3つにまとめる。これで、『晶弾・龍』が3つできた。
それらを三方向から
『ぐ……おぉおおおおおおおお!!』
いくつかの『晶弾』には『重撃』を付与した。さすがに全部は無理だったが、2割ほどはできたかな?
付与されたのが『晶弾』という小さいものだから強い
が、衝撃は骨身にまで届く。それによる悲鳴だろう。
瓦礫の中から出てきた
『ふーー……ふーー……』
風を纏うことでダメージを軽減していたようだ。ダメージも少なくないようだが。骨折は防いだのかな。
『――『
自身の名を冠した魔法か。だが、あの切れ味とスピードは馬鹿にできない。
なんなら、今日見た中で最も危険な魔法だ。そう、『
オレは後ろに高く跳ね、壁に足を着けて再び着地する。
地面は大きく裂けていた。
チャージ型じゃないのに『
……いや、違う? そうか。『
足止めを目的とする『
つまり、『
そもそも、チャージ型なんてやろうと思えばいくらでもチャージ時間を短縮できる。
オレのプログラミングなんかもその手の一つだ。
戦闘中に少しずつ組み立てて……とかな。
つまり、チャージ型とかそうじゃないとか、気にする必要はまったくないということだ。
ではなぜオレは気にしたのか。
理由は1つしかないだろう? 知識欲だよ。前よりも知識欲が強くなったか?
『――『
途端、すぐ目の前に爪を後ろに大きく引いた
【思考加速】のおかげで、間一髪で避けることができたが、【思考加速】はあくまで思考だけで、肉体は動かない。
ただ、傍から見れば反応速度が上がっただろう。
感覚器官から感覚細胞、感覚神経、中枢神経を経て、脳に届く。そして脳で処理が行われ、逆の手順を経てようやく体を動かす。
反射なんかは、脳を介さずに中枢で処理されるため、反応までが早い。
つまり、何が言いたいのか。
それは【思考加速】は言ってしまえば情報処理能力の短縮、最適な答えを導き出す確率アップ
まあ、前より比較的楽にはなったか。少なくとも、咄嗟の判断を下す事は少なくなりそうではあるな。
さて、目の前のこいつに関して、避けながら分析をしようか。
こいつはこう言ったな。『
その名の通り、
だが、ならなぜ最初からこれを使わなかったのか、なぜ名前に追加で『極』と付けるのか、という疑問が浮かんだ。
オレの推測はこうだ。
・効果時間の大幅な短縮
・消費魔力量が増大
・有り余る力をコントロールできない
……三番目は使わなかった理由としては少し不適切か? 実際、今はコントロールできているっぽいし。
おっと、避けないとな。
首を倒し、
それと同時に、拳に――オリハルコン
『――『
を発動することで、元居た家屋の2階に降り立った。
オレの脇腹からは血が流れている。飛ぶ直前に攻撃を食らってしまった。
そこそこ深いが、戦闘続行は可能だし、『
『極』の効果はまだまだ不明な点が多いな。いや、オレの想像が間違っていたと教えてくれた、と言うべきか。
……そろそろか。
右手を
ひたすら、「その時」を待つ。
魔法が放たれるが、『晶皮』を発動するだけに留める。
いくつ攻撃を受けただろうか。【思考加速】のおかげで、時間感覚が曖昧だ。これも慣らさないとな。
まあ、思考に神経を集中させているおかげで、痛みは少ない。
そして、「その時」が来た。
そして、オレは『晶拳』を放つ。
推進力も、速度も、硬度も最大。
オレが今までに放ってきた魔法の中で最も速く、硬い魔法となった。
空気摩擦もほぼゼロに近づけてある。そして、推進力で常に加速を続ける。
おかげでかなりの魔力を持っていかれた。魔力消費量も過去最大かよ。
これを食らえばひとたまりもない。
現に、加速度を読み切れずに
『――『
全方向防御魔法を使うも、まるでそよ風とでも言いたげに、一切減速することなく、『晶拳』は進み、加速し続ける。
そして――
『――『
魔法を唱えようとした
『がふっ……』
そして、
そして、『晶拳』に仕込んだプログラミングが発動する。
――バンッッッ!!
小さな水晶の欠片が
『――『
魔法の効果で、水晶の欠片がすべて吹き飛ばされ、消え去る。
『ふぅぅ。体も温まり、封印前と同じはずなんだが……強き者はいつの世もいるものだな。やれやれ……不快』
何かほざいている
『さてさて……もう最低限の目的は達成したことだし……サクッと殺して帰るとしよう』
――来た!!
だが、それに
なぜなら、
もちろん、オレも本気だ。
だって、
攻撃用の『
そして……
――シュッ
そして、確認しようと思ったその矢先……
――勝った
オレは勝利を確信した。
たとえ『
『
どこからこの水晶の剣や槍がやってきたのか。もちろん、オレが生成したわけではない。
先ほど放った『晶弾・龍』……いや、その更に前の『隕晶』の状態のときにすでにプログラミングを施していた。
一定の時間が経過したあと、剣や槍となって
『ぐっ……』
だがそのとき――
『――『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます