加筆版 イギリスの今と翔の成長

ヴィッキー・アグレッスィーブと英沢歌子

　　　　　　１

　16歳になった翔とベティ、ジョフはインターナショナル・クラス・スクールの

１階でミネストローネとチーズのパンを食べていた。

　長身の男エリックがベティに近づき、失神させて車に乗せる。翔とジョフが驚いている間に、車は走り去った。

　茶色い髪に濃い緑の目を持ち、紺色のベストに白いズボンを着た22歳の男性教師、ヴィッキー・アグレッスィーブが「翔、ジョフ。俺の車でベティを助けに行くぞ」と言って黒い車のドアを開け二人を座らせる。

　「英沢先生、他のクラスの子たちやヤソン、ヤリン兄妹たちと待機していてください」歌子は満面の笑みを浮かべてうなずき、歌い始めた。

　　　　　　　２

　３人は18歳のマーチから、エリックが本屋の前を通り過ぎていったと聞いていた。「赤い髪の女の子は失神してたね」と言いながら、マーチはコップに残っていた氷を歯で砕く。

　「マーチさん、ありがとうございます」「あー、ため口でいいから。あたし翔やジョフと同じ学校だし」マーチは二人に手を振りながらビッグベンへと向かった。

　エリックは目を覚ましたベティにからになったビールの缶を投げつけようとしていた。ベージュの上着の上に本屋の名札をつけた男性が缶を蹴り、彼女をかばう。

　「モーント！」と激怒するエリックに、モーントは「彼女がどれだけ不安を感じているか。悪かった、ベティ」と答えベティに毛布を渡す。ベティは翔やジョフと一緒にヴィッキーの車に乗り、インターナショナル・クラス・スクールに戻った。

　帽子を取ったモーントが校内に入ってきて、「ベティ。あいさつをしてなかった。

　俺はドイツ人のモーント・ベルリン、34歳でアイリーンっていう恋人がいる。ロンドンの本屋の店長だ。よろしく」と言って笑みを見せる。ベティは「ありがとうございました」と小声で答え、頭を下げた。

　「モーントさん。俺は翔・クラークです」「ジョフ・ラッセルです」「よろしくな翔、ジョフ」４人は階段を上がって２階の椅子に座る。

　　　　　　　３

　「アイリーンと俺は18歳と23歳の時にインターナショナル・クラス・スクールで出会って３年間付き合っている。１年前から連絡が取れなくなり、40代の男に連れて行かれたことが分かった。俺は夜10時に、その男を拘束する」モーントは翔たちに抹茶のクッキーを渡し、本屋へと戻っていった。