短編 ジョフのカラオケ


 俺は掃除機をかけながら日本の曲を歌うのが好きだ。今歌っているのは中孝介の『絆』。

 翔と初めて会った時、両親のことを聞いた。『嫌われ者夫婦』と呼ばれ、お金が

あるのが当たり前の家で育ったらしい。『一文無しになればいい』とメモを残して

翔はロンドンに来たのだ。

 

 俺がベッドの下の埃を取りながら歌っていた時、茶色いメスの柴犬ゆずが吠え始めた。鶏肉が欲しいと何度も吠えるのだ。鶏肉を渡すと、転がりながらかじる。翔は机の上で掃除機をかけている。


 「『絆』って、いい曲だな」「一緒に歌うか?」「うん」ジョフは翔、部屋に入って来たベティと歌い始める。鶏肉を食べ終えたゆずはあくびをしながら聴いていた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る