第9話

「きみは星より強いそうだね?」

 そういって、また、見知らぬ男が現れた。

「強いのかはよくわからないな。ぼくにあるのは弱さなんだ。弱さの化身、それがぼくさ。弱いものたちの意思が集まってできたものがぼくなんだ」

「へえ。ぼくはジェスタ。すべての星の回転を止めることができる。そして、すべての星が回転するはずだったエネルギーできみを攻撃することができる。それに勝てるかな」

 なんだか、よくわからない。ぼくに挑戦しているのかな?

「死ぬのはもう怖くないよ」

「なら、受けてみてくれ。すべての星の回転するはずだった力をこめた一撃を」

 そして、地球の自転が止まった。地球の公転も止まり、太陽は同じ午後五時の方向に浮かんだままだ。このジェスタという男、本当に宇宙を動かせるんだ。

「この地球から観測できるすべての星の回転は止まっている。くらえ、友紀村慎二。すべての星の回転するはずだった力による一撃を」

 そして、一個の石ころがジェスタから飛んできた。すごい速さだ。宇宙が脈動したような速さだった。実際に、宇宙は脈動した。

 その宇宙の力のこめられた石ころの一撃は、当然、ぼくより弱くなる。

 ぼくは、すべての星の回転を止めて、すべての星の回転するはずだった力をこめた一撃を弾き返した。

「効かないね。きみの攻撃も」

 そして、ぼくはジェスタを殴り、吹っ飛ばした。ジェスタは負けを認めて帰って行った。


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