第4話 おっとあぶない。これまたグレイザーク

□■□■□■□■


 アムリタとソーマのデートは残念な形になっていたが、なんとか黒トカゲ男たちから逃げるのに成功し、町の噴水広場に腰を落ち着けていた。

 他にも似たようなカップルが噴水広場にいてそれぞれの恋心をもやしていた。


□■□■□■□■


「ソーマ大丈夫か? とんだ災難になっちゃってごめん。黒トカゲ男を無視できなかったんだ…! 悪いやつらは見過ごせなくてさ」

「それはオレも同じだよアムリタ。ブラックリザード団は一度本格的にこらしめないとな」


 アムリタとソーマはお互いの意見が一致して、たがいに微笑んだ。


「話は変わるんだけどさソーマ。今日話したいことがあるって言ってたじゃないか。あれはなんなの?」

 アムリタはなんの話がくるのだろうかと内心ドキドキしていた。


 ソーマはじっとアムリタのつぶらな瞳を見つめて口を開きかけた。そのときだった。


「おっと危ない。ちょっと失礼シマス!」


 噴水の反対側から一人の男性が噴水を飛び越えて二人のもとへジャンプしてきた!


「うわわわわ―――――!」

「なんだなんだ!?」


「フッ。 アムリタ。真昼間からデートかい? それは置いといて…」 

 男はアムリタに渋みのある声で話しかけたあと態勢を整えた。


「ちょっとグレイザークさん! なんでなんで!? デートとかじゃなくって…」

 アムリタは顔がまっ赤になりながら否定しようとしたが瞬時に冷静さを取り戻した。


「この殺気は…? 近い! くる!」アムリタは剣に手をかけ抜き放った。


 噴水に集まった人々が悲鳴をあげた。

 

 ブラックリザードマンの群れが噴水広場にあらわれたのである。

 さらにブラックリザードマンの群れの中からひとりの男があらわれた。


「グレイザーク。今度は逃がさないぜえ! このナイフでズタズタに引き裂いてやるぜえ!」

 男はナイフを器用に操りながら噴水を迂回しながら回り込み、グレイザークに詰め寄った!


「ジルワン! フッ。 今日こそがお前の死ぬときだ」グレイザークはジルワンに対して指先で『来い』と合図した。


「フッ。 このグルウェイズァークを倒せるかな?」

「やってやるぜ~~~~!!」


 ジルワンが一歩踏み出した瞬間!

 ソーマがきれいにバッサリとジルワンを切り捨てた。


「おや? いけなかったかい?」ソーマは照れ笑いをしながらグレイザークに言った。


「いや、だぁいじょ~うぶ! 彼も本望だろう… フッ 」グレイザークはソーマに親指をあげてグッドサインを出し、ニカっと笑った。


 大将がいなくなったブラックリザード団はしばらくの間動かなかった……が、それぞれ槍を構えてアムリタたちにジリジリと歩み寄った。


 と、そこへルーシャが空を飛行してあらわれて、乱戦となり、しばらくしてデスゲイズとブラックリザード団19匹が群れでやってきた。


「ルーシャよ…売却されたカードの恨み今ここで晴らしてやるぞ…!」


「なーに言ってんのよ! ゲイズ。ブラックリザードマンをなんとかしなさいよ。ったく」


「こっちはこのソーマに任せてくれ! アムリタ、気をつけるんだ!」


「フッ。 ブラックリザード団はこのグルウェイズァークが倒してやる」


 ブラックリザード団の群れはグエグエと鳴きわめき、槍で次々と貫こうとしてきた。


「よし! いくぞ! 私の本気をみせてあげる!」

 アムリタはさけび、気を解放した!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る