第2話 ルーシャとデスゲイズ 罠にかかる

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「ほっほう? これはいいお宝だぜ! 俺様のコレクションに加えてやろう!」

 デスゲイズはデーレーの町にあるカード売り場で奇声をあげた。


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 俺様は複数のカードゲームにご執心なのだが、今ハマっている『ヨタロスの要塞ようさい』のカードを買いレアなを引き当てた。


「没落貴族の大胆な旅行カードか…ふむふむ…相手にわなをしかけるなんだな…ほほうなになに…自分の場のモンスターが3体以下のときに発動可能なのか…」


 俺様は引き当てたの効果を読み上げながらカード換金所へと歩いて行った。


「いらっしゃいませー。カード換金所へようこそー」

 カード換金所の受付嬢がにこやかに応じる。


「没落貴族の大胆な旅行カードは今何デーレーに換金されるんだ?」

「そうですねー……そのだと4000デーレーほどになりますね」

「たったの4000か。まあいい聞いただけだ。売らんぞ」

「またのお越しをー」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 俺様がを自身のカードスリーブに入れようとした時! 体が引きつった。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「いでででで!なん・だ・これ・は…!?」


 近くの物陰から全身金属の甲冑かっちゅうの人影があらわれ、俺様の元へ走り寄った。

 地面に落ちたを拾い上げ、換金所でそのを売り払う。


「ほーほっほ! いい収入だわっ。ゲイズ。ありがとね!」

 金属甲冑の人影はを売り払ったデーレー紙幣4枚をひらひらと俺様に見せながら言った。


「てってめえ、ルーシャ、いでででで!、おぼえて、ろよ…!!」


 俺様は甲冑姿の腐れ縁、ルーシャにつぶやくように言いながらひきつりの魔法が解ける時間を待った。

 ルーシャは俺様に聞くに堪えない嫌味を言いながら手に入れた臨時収入を数えつつ、ひきつりの魔法が解けないように時間をはかり、魔法をかけ直したあと俺様のカード集に手を伸ばしてきやがった。


 そうやって二人がひきつりタイムで遊んでいると通りの向こうからアムリタとソーマが走って何かから逃げてきた。

 二人はルーシャに何かを投げつけながらそのまま走って通り過ぎて行った。


「なにこれ…? なんかのくし焼きかしら? いただきまーす。お酒があったらいいのにねえ…」


 ぼやいていたルーシャだが、アムリタたちが逃げてきた方角から血気盛んなブラックリザード団が、20匹を越えようかという群れで地面を腹で滑ってくるのが見えたため『ゲイズ、あとは任せた』と言い捨てて、ルーシャもアムリタが逃げた方角へ飛行魔法フライトを唱えて逃げて行った。


 俺様は引きつった顔でルーシャを呪った。

 そして追いついてきたブラックリザード団に俺様は囲まれた。


 引きつりが解けたものの筋肉はまだ痛くて動きづらい状況だった。しかし、ブラックリザード団はお構いなしに俺様を威嚇いかくしてギャーギャー鳴きわめきながら槍を構え始めた…。

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