ドエライ王国での冒険
第1話 ドエライ王国奮闘記
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一軒の居酒屋で一人飲みをしているデスゲイズという名の男がいた。
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「これがドラゴン
ドエライ王国首都デーレーの居酒屋で出された料理・ドラゴン鍋。値段のわりに不味そうな香りと珍妙な見た目。
「45デーレー(1デーレー=100円とお考えください)もするのになんだよこりゃ…誰か味見しねーかな…」
俺様がひたすらぼやきながら酒をチビリと口に含んだその時
カランカラン♪
居酒屋の入口の鐘が鳴り、女の客が入ってきた。
「らっしゃーい!」
居酒屋の従業員が叫ぶ。
俺様はその客の顔を
「よーうアムリタ。今日は縁起が悪くて最悪な日だぜ。まさかお前に会うとはなあ」
俺様は居酒屋に入ってきた赤毛の少女を見やりながら低い声で言った。
「入ってすぐの顔はなんとなく予見していたよデスゲイズ。今日の私の運勢占いは凶だったからね」
アムリタは鼻でふっと笑いながら俺様に言い返してきた。
デスゲイズはアムリタにゲスな笑いを浮かべたまま席をすすめ、この鍋を食えと指さして命令した。
「なんだよこれ…! 変なにおいの鍋だな。私は食べないよデスゲイズ」
アムリタはすすめられた席も辞退しながら鼻でふっと笑った。
「キサマ、俺様が用意してやった突き出しの料理が食えないとはどういう了見だ? 一食分早く食べられるんだぞ?」
俺様はアムリタに『はやく食えほうれ食え』とつぶやきながら更に鍋をすすめた。
だがアムリタは俺様をやんわりと無視しながら離れた席に腰かけた。
デスゲイズは『一生呪ってやる』というテーマの歌をぼそぼそ歌いながらアムリタをにらんでいた。
しばらくして来客があり従業員が『らっしゃーい!』と勢いよく声をかける。
その客は店内を見渡したあとアムリタのもとへ近づき、隣の席に座る。アムリタは少し
「今日は楽しく過ごせたらいいねアムリタ」
男がアムリタに優しく声をかけて彼女を見つめた。
「ソーマ……えっと、照れくさいなそんなに見つめられたら、私は」
アムリタは顔を真っ赤に染めて彼に告げた。
俺様は『音が聴こえるんデス
ソーマと呼ばれた男がアムリタに"ふっ"と微笑んだ次の瞬間!!
バリ―――――ン!!!
居酒屋の扉を叩き割りながら黒い鱗をしたトカゲ男が店内に複数乱入してきた!
俺様はとばっちりが来ない様に、魔法の
アムリタとソーマは反射的に武器に手をかけてブラックリザード団の方を注視する。
他の客たちは悲鳴をあげながら壁に張り付いたり逃げ場所を探していた。
ブラックリザード団は店員に詰め寄り、よどんだ声で『金を出せ!』と怒鳴った。
アムリタが魔法の詠唱に入り、敵意を向けられたブラックリザード団が魔法に気づいてアムリタに詰め寄るが、間にソーマが割って入る。
デスゲイズは高みの見物に入り、微動だにしない。
「
アムリタの魔法・睡眠の雲が放たれ、ブラックリザード団数匹が眠りに落ちる。まだ起きているブラックリザードマンが槍を抜き放ちアムリタめがけて突き刺す。
しかしソーマが槍の
俺様はソーマに『なかなかやるではないか』と少しだけ感心していた。
残りの眠っていないブラックリザード団は店内でカウンターや椅子を壊し大暴れをしながらアムリタとソーマ、ついでにデスゲイズに槍で攻撃をしかける。
「数多なる敵意をもちし…キャンセルっ、いくぞ!」アムリタが剣を抜き放ちブラックリザード団に切りかかる。
黒い鱗は極めて硬く、アムリタの剣撃を強固に受け止めた。
「くっ硬いっ! ソーマ! お願いっ!」
「わかった! くらえ我が剣技を!
ソーマの剣から放たれた二つの波紋が炎になりブラックリザードマンを包み込む!
しかし、この剣撃も黒い鱗が堅く
「くっ、ダメか!」
「デスゲイズ! なんとかならないか!?」
アムリタが俺様に叫ぶ。
俺様は自身が張り巡らせたバリアで身を守り遊んでいたが、アムリタから
「ほっほう!? 俺様に
「なんで泣いて差し出さなきゃならないんだよ! まったく…!」
アムリタは近くにあった他の客の料理を
ソーマも同じように気を引いて外へ駆けて行った。
ブラックリザード団はアムリタとソーマを追いながら店を出て行った。
そしてデスゲイズはドラゴン鍋が
もちろんアムリタやソーマとは反対方向へ。
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