ラブコメ主人公の弟になんてなるもんじゃない
3pu (旧名 睡眠が足りない人)
ヒロイン達が朝家にやってくる
昨今、ラノベや漫画にて読んでいた物語に転生するものが流行っており、自分もしてみたいと憧れを抱く者も少なからずいるだろう。
そんな君たちに、俺から一つ言っておきたいことがある。
もし、転生先が選べるのなら
ラブコメ主人公の弟になるのだけは止めておけ。
これは実際に、ラブコメ主人公の弟に転生した俺が言うんだ間違ない。
物語に絶妙に絡みにくいポジションだし、毎日面倒くさい奴の相手にしないと行けないし、面倒ごとによく巻き込まれるし、本当に良いことがないポジションである。
…ヒロインに逢えるだけまだマシじゃないかって?
実はそのヒロイン達が一番面倒くさいんだよ。アイツら周りを見ずに猪突猛進するから近くにいると苦労する。
朝いきなり窓から凸って来たり、夜になっても自分の家になかなか帰ろうしとしなかったり、俺が部屋で寝ているのにも関わらず騒いだり、とにかく挙げ始めたらキリが無い。
だが、この程度なら我慢出来るだろと思っていると人も居るはずだ。
そんな人達に、ラブコメ主人公の弟に転生してしまった俺の苦労話を少しだけ語ろう。
きっと、これを聞けば貴方もなろうなんて絶対に思わないはずだ。
◇
ある春の朝
「おっはよーーーーう!」
朝一、我が家にはいつもこの大きな声が響く。
これは小学低学年に進賢ゼミの付録でもらったコラシヨの目覚まし時計からでているわけではない。歳上の幼馴染から発せられたものだ。
幼少の頃からやられていたせいで、これがもう我が家の目覚まし時計になってしまっているが、いい加減近所迷惑だからやめて欲しい。
高校生になってもこんなことをやってるのは恥ずかしくないのだろうか?
まぁ、こんなことを言っても「両隣が幼馴染の家だからいいじゃん」と反論され最終的に何故か俺が負けるのでもう注意しようとは思わないが。
俺はキンキンと耳鳴りがする耳を押さえながら、兄貴のより少しデカいベッドから抜け出す。
そして、カーテンを開け網戸になっている窓を閉め、一階のリビングへと向かった。
「おはよう!
リビングを訪れ、俺を満面の笑みで出迎えたのは我が家の目覚まし時計幼馴染こと、
「雄介何か変なこと考えてない?」
胸に視線を感じたのか、黒い笑みを浮かべる遥ねえ。
「そう思うならそれは被害妄想って奴だよ。普通にエプロン似合ってるなと思ってだけ遥ねぇ」
「えへへ、そう?なら、許してあげよう。ささっ、座って座って」
新しく買ってきたエプロンを褒められ喜ぶ遥ねえ。
この程度で絆されるとはヒロインって奴はチョロいぜ。
「へーい」
俺は遥ねえが引いた自分の席に着く。
テーブルを見ると焼き魚に味噌汁と卵焼き、白米と理想的な朝食が並んでいた。
「いただきます。………美味い」
箸を湿らすため、先ずは味噌汁を飲むといつもより味わいが深く俺は思わず感想を溢す。
「でしょー。今日は試しに少しだけ他の味噌を混ぜてみたんだ。美味しいでしょ、ドヤッ!」
「オイシイデース」
ニヤニヤと薄い胸を張りドヤ顔を決める遥ねぇ。
俺はそんな彼女に適当にあしらい、箸を絶えず動かす。
魚に手をつけようとしていた所で、俺の反対側に座っていた一人の黒髪ロングの眠たそうな美少女が話しかけて来た。
「…おはよう、ユウ」
「おはよう。
彼女の名は
今紹介したこの二人が、我が家の両隣に住んでいる幼馴染達だ。立地を説明すると右が遥ねぇの家で、左が透華ねぇの家である。
「…醤油いる?」
「いや、今日はいいや。普通に食うよ」
「…そう」
透華ねぇは俺が醤油を使わないと分かると、すぐにご飯を食べるのを再開する。
俺もそれに倣い、骨を取りながら魚を食べていると階段から人が降りてくる音が聞こえた。
「ふわぁ〜〜〜、おふぁよう。みんにゃ」
そう言って、欠伸を噛み締めながらリビングに入ってきたのは俺の兄貴
そして、残念なことにこの世界の主人公だ。
えっ、何の主人公かって?
何と、異能力バトル系じゃなくてハーレム系ラブコメである。こんな絶対モテなさそうな見た目をしといて冗談だと思うだろうが、本当だ。前世漫画で読んだからな。
よく、問題に巻き込まれるトラブル体質からヒロインと接点を持ち、そこでよくある髪の下はイケメンというありがちな設定でヒロイン達から惚れられているのだ。
「もう、朝弱いのは相変わらずだね愛斗。ほら、シャッキとしなさい」
「…寝癖酷い。治してくる」
「分かったよ」
美少女二人に注意され、フラフラと洗面台へ向かっていく兄貴。
これを見て貰えばもう皆んな分かっているだろうが、遥ねぇと透華ねぇも複数いるヒロインのうち二人である。
うん、世界は不条理だよな。何でこんな陰キャ兄貴がモテるんやろ。これが主人公補正ってやつ?意味不明だZE☆。
そんなふざけたことを考えていると、いつの間にか朝食を完食をしていた。
「ご馳走様」
「お粗末!」
俺は食器を水に付け、自分の部屋へ戻り学校に行く準備をし歯磨き、顔を洗い、髪を軽く整えると玄関を出る。
すると、家の門前に立っている会ったことのないふわふわ金髪碧眼の美少女と銀髪ツインテールの美少女、赤髪短髪のヤンキーっぽい美少女と目が合った。
「おはようございま〜す。ここはミスター愛斗のハウスで間違いないでしょ〜か?」
「アンタ、愛斗じゃないわね。でも、外堀を埋めるためには……よし、アンタ、私のことをお姉ちゃんと呼ぶことを許可してあげるわ」
「あぁの、あひとはいねぇのかですか?」
ううーん、流石に情報過多。
俺は一度扉をゆっくり閉めた。
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