第6話

 第二次ボス・ファンタジスタ討伐戦。再び、警察と一緒にボス・ファンタジスタのいると思われる建物に踏み込んだ。

「わかっています。そんなに怒鳴らないでくださいボス」

 と目が死んだようなギャングスタ・ファンタジスタの兵隊がいて、彼らと銃撃戦をした後、おれと篠田は思いきって、ボス・ギャングスタの部屋だというドアを開けて入ってみた。中には誰もいなかった。

 いつも通り、

「ガオオオオオオ! おれ様に逆らうやつは皆殺しだあ」

 といって叫んでいる。恐怖の咆哮というやつだ。

「どこにいる、ボス・ギャングスタ。今日こそ、おまえを退治してくれる」

 おれは棒切れをもって立ち向かった。声のする方向を棒で叩いてみる。全然、手ごたえがなく、空振りしたようだ。

 すると、

「ガオオオオオオ!」

 という声と同時に顔をぶん殴られた。すごい威力だ。

「ガオオオオオオ! おれ様に逆らうやつは皆殺しだ」

 また殴って来る。

 そのまま、ボコボコにぶん殴られた。

「大丈夫?」

 篠田がいう。あいつは無事なようだ。

「きみは平気なのか」

 おれが聞くと、

「実はあたし、攻撃はすべてかわすことのできる回避率百パーセントの力を持ってるの」

「まさか、おまえ、能力者か」

 おれは少し驚いたが、何も慌てることはない。おれが能力者なら、篠田夕子も能力者でもおかしくはない。

「ガオオオオオオ! ガオオオオオオ! 死ぬまで殴ってやる」

 ボス・ギャングスタ・竹内大輝の声が聞こえる。ただ、音波だとは感じられない。

 まだ殴られる。

「あいつの攻撃パターンがわかってきた」

「何?」

 おれのことばに篠田が興味深そうにしている。

「あいつ、声と同時に攻撃してくる。必ずだ」

 攻撃パターンがわかっても全然、かわすことはできないし、こちらの攻撃は一回も向こうに打撃を与えたことはない。

「声が手がかりってだけでどこから攻撃してくるのかわからねえ」

 おれはこのままでは本当に殴り殺されるのではないかと思った。幸い、篠田はボス・ギャングスタの攻撃をすべて回避している。

 そして、篠田がふと気づいたようにいった。

「わかった。ボス・ギャングスタも能力者よ。その正体は、幻聴だよ。こいつ、人間じゃない。幻聴なんだ。幻聴生物なんだ」

 おれははたっと真相に気づいた。

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