400字短編集
ゆずこしょう
400字短編 歴史の重い猫
歴史の重みという言葉を聞いたことがあるだろうか?
長い年月が積層することで得られる重厚感のことだ。重いとはいうものの、それは目の前にある10トントラックの重さとは全くべつのものである。
トラックの横には食品メーカのような名前が書いてある。逆向きに書いてあるので読みづらいと見ていたら車体の下にしっぽの太い猫がいた。
僕が見ていると猫も気がついたようでこちらを見返して「にゃー」と鳴いた。野良猫にしては透き通った声だ。
なんとなく目が離せず見ていると猫が走り寄ってきた。お腹でも空いているのかと思い買ったばかりの鶏肉を渡したら貪るように食べきった。
満足したのか僕の足元でゴロゴロと鳴いている。ご飯をあげたんだ、少しくらい触ってもいいだろうと抱き上げてみる。
「キミはずいぶん重いんだな」
抱き上げた猫を地面に下ろす。
猫は身軽にトッと降り、振り返りながら鳴いた。
「重くて悪かったね」
400字短編集 ゆずこしょう @yuzuko_sho
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