第2話 その姿はまるで夢の中

少し歩くと狛犬のような狐のような石像がある。

狐ってことは稲荷なのかな?そういえばこの神社の名前も知らない。

そんな風に思っていると、社の奥の方に何かが動いているのが見えた。

もしかして人がいるのかな?用もなくこんなところにいるのを人に見られるのは嫌だな。

そう思いながら窺ってみると、

「あれ?」

思わず小さな声が漏れた。

見えた人影は小学生くらいの子供、それも低学年だろう。

ここで子供が遊んでいること自体は驚くことではないかも知れない。

僕たちが遊んでいたんだから。

でもその子の姿がまるで―――

「ユウ?」




その子は奥社の更に奥、神社の裏手の山を登っていく。

そこは石段こそあれど、昔から苔むしていて日も当たらない程の木々に覆われている。

石段の先には少し開けた場所があり、不自然に削られた山肌と謎の小さな祠があるだけだ。

子供心にも変な場所だとは思っていたが、大人になって考えると不思議な場所。


その子のことが気になってつい後を追いかけ石段の前に立つ。

山に向けて一直線に続くその石段は、各段の端に文字が刻まれた小さな柱がある。だがその石すら朽ち果てていて何が書いてあるかはよくわからない。

石が朽ちて壊れているなんて他ではあまり見たことがない。

こんな場所に今時の子供が遊びになんて来るなんて。

と言うかあの姿はまるで・・・。

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