連射王

作者 川上 稔/電撃文庫

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★★★ Excellent!!!

1997年4月30日刊、アーケードゲーム専門雑誌『ゲーメスト』193号
セガから発売された大型筐体レースゲーム『スカッドレース』の攻略記事にその文言はありました。
『くお~!! ぶつかる~!! ここでアクセル全開、インド人を右に!』
スカッドレースはコミカルなイベントも存在する作品ではあるものの、インド人は登場しないし、特定の誰かを左右に移動させる必要もありません。
本来は『インド人』ではなく『ハンドル』とあるべきだった箇所が、その記事を担当したライターさんの手書き文字があまりに個性的で印刷会社のスタッフさんが誤読してしまい、結果、国内有数の名誤植の誕生となったのです。

かつてこの世界にはアーケードゲームだけを取り上げる雑誌が存在しました。
その時代にあったのはアミューズメントセンターではなくゲームセンターであり、ゲーセンにあったのはクレーンゲームと音楽ゲームとプリントシール機ではなく、格闘ゲーム、シューティングゲーム、ビシバシチャンプ、ハウスオブザデッド、ギャルズパニック、ダンシングアイなどです(多少の地域差はあります)

本作『連射王』の舞台となっているのも、きっとそんな時代。
ゲームセンターに、そこでしか浴びることのできないの熱狂があった時代の物語。
主軸にあるのは一本のシューティングゲームですが、ゲームに興味のない方でもまだ回れ右をするのは早いです。
点を取ることに価値を見いだせなかったやつが、その価値を見つけるまでの物語。
ここに描かれているのは、そういうやつです。
シンプルゆえに、あらゆる世代、あらゆる立場の人たちの今の状況によって受けとるものは異なるでしょう。
つまり、ここにあるのは、あなたのための物語です。

ゲームセンターの全盛期が舞台なので、懐古主義的に思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、むしろ連射王を最も楽しめるのは、まちがいなく今だと断… 続きを読む