第61話 新たな仲間の力

僕達プロイセン=フランク合同勇者パーティはアマルフィのダンジョンを攻略し、無事魔族2体を滅ぼした。この戦いはアルザス王国からの依頼で、フランク王国にとって大恩あるアルザス王国に感謝の意味を含めて、是非にも解決すべき依頼だった。


「それにしても、ナディヤが銃に興味があったなんて知らなかったね」


僕はナディヤが銃のスキルを持っていた事に驚いた。ナディヤがオーブで手に入れた『戦士の銃』のスキルは破格のユニークスキルだ。何せよ、弾丸を弾倉に装填する必要がないのだ。通常の銃という古代の兵器は銃の他に弾丸が必要であり、弾倉に弾丸を詰める必要がある。しかし、その弾倉を装填するのがネックなのだ。それに通常の銃はドワーフの熟練工をもってしても、故障率が高く、実戦で使う者は少ない。


「ナディヤ、子供の頃から興味があったので、よく銃で狩りをしていたのです。だから銃のスキルを頂いて、それに司祭の才能をもらった時に、攻撃手段が無くて、銃が使えないか模索した事があるんです」


「その気持ちはわかるな、僕も回復術士だったから、攻撃の手段が無くて、悔しかった。最初は剣で戦っていたけど、才能のある人に比べると危険なだけだった」


「えへ☆ 先輩に共感してもらえて嬉しいです。それと、この魔銃…凄い事がわかりました」


「何なの? 魔銃は確かに『戦士の銃』をベースに悪魔の魔力の籠った魔弾を発射できるから、凄い武器だとは思うけど、それ以上の事?」


僕は疑問に思った。確かに『魔銃』は凄い武器だ。聖剣以外で魔族や魔王に傷を負わせる事ができるのは魔剣や魔の武器だけだ。


「魔弾以外にも普通の魔法の弾丸も発射できるんですよ。例えばヒールの魔法とか…それも呪文も必要ないんですよ。予め弾倉を作っておけばいいだけなんです」


「ええっ? 魔銃って、弾倉がないんじゃないの? どういう事?」


僕は驚いた。魔力が尽きるまで悪魔の魔力がのった魔弾が発射できる。そういう理解だった、だが、ナディアは弾倉があると言っている。


「いえ、弾倉はありますよ。通常の弾倉は悪魔弾です。魔力が尽きるまで打ち続ける事ができます。でも、予備の弾倉に予め魔法を込めておくと、その魔法の弾丸が発射できるんです」


「つまり、予備弾倉にヒールの弾丸とか攻撃魔法の弾丸を込めておくことができるの? それは凄いけど、弾倉を交換するのはデメリットなんじゃないの?」


「それが、先輩☆ 弾倉の交換は心の中で思うだけで一瞬で済むんです。それに弾丸は予め魔力を込めておけば、魔弾と違って、自分の魔力を消費しないんです」


「そ、それは凄い!?」


僕はつくづく驚いた。ナディヤの魔銃は想像以上のものだった。悪魔弾が発射できる対魔族戦に攻撃兵器として使える上、予め魔力を込めておくと、高位魔法でも、即座に発射できる、ほとんどチート武器だ。


それ以外のメンバーの攻撃力も充実している。妹のロッテは元々持っていた『闘拳』のスキルにリーゼが編集して悪魔武器に編集しなおした『魔拳』の所有者。悪魔の魔力ののった拳で格闘で魔族と対抗可能だ。しかし…賢者が魔族を殴るってほとんど冗談みたいだ。


ロッテは子供の頃からお転婆で良く女の子なのに喧嘩していた。僕も殴られた事あるな…それで拳のスキルをもっていたらしい。


リーゼには『魔弓』のスキルがあったが、僕が『魔剣』のスキルも付与した。弓だけだと魔族と接近戦になった時、対抗できない。


ナーガには『魔針』のスキルが宿った。かなり使える武器だ。悪魔の魔力を宿した針を使う。含み針や、投げ針もできる。中距離攻撃、接近戦どちらでも戦える。もっともナーガは魔族なので。元々魔族と戦う事ができる、同族だから…僕、こんな仲間と一緒でいいのかな?


最後にヒルデだけど、魔剣は付与しなかった。ヒルデは聖剣を持っているので、使用の機会がない。聖剣は魔剣より魔族にダメージが通るのだ。魔剣は高位の魔族になる程威力はでない。


その代わりにヒルデは『巫女の六龍』というスキルを得た。龍を召喚できる。


☆☆☆


ナディヤと雑談していたけど、僕は約束を思い出した。情報収集に協力してくれた冒険者ギルドのお姉さんとのデートだ。僕は少し嬉しくなった。だって、デートなんだもん。


他の女の子はちょっと、おかしいので、少し僕はひいている…もちろんいい子達なんだけど、何処かおかしいんだ。


ヒルデは脳に…ちょっとだけ問題があるし、リーゼは毒舌で僕へのあたりが厳しい…夜宿舎で一人、デレている時は凄く可愛いだけど…


妹のロッテ…もう妹の時点でアウトだ。ナディヤは相変わらずウザいし、その癖どうも僕の事が好きらしい。素直になってくれたら…。


ナーガは一見普通だけど、魔族だし…それはおいておいても『好きなら美味しく召し上がって下さい』と言われた時は本当に驚いた。


一番普通なのがロッテだけなんだけど、ロッテは妹という一番アウトな存在なんだ。


クリスティーナ王女と従者のアンナはものすごく馬鹿だし、消去法で考えると冒険者ギルドのお姉さんが一番普通だ。いや、ストーカーなのはわかっているよ。でも、別に迷惑な付き纏いじゃないから、あまり怖いとかは思わない。一番まともに見える。


「お姉さんとなら、新しい恋が始められるかもしれない…」


僕は一人、呟いて、待ち合わせ場所の街の正門に向かった。街の外の草原や河原でデートしようという至極まっとうなお姉さんからの提案だ。他のみなはいきなりハードプレイや変態プレイ、凌辱なんかを要求して来て…僕、経験ないんだよ、そんなのハードルが高すぎる、ていうかそんなの嫌!

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