「ポップコーンでも買っておけばよかった」

この、不器用な物語を愛している人が他にも居たことに、私は何だか嬉しくなって、思わず笑みを零す。


「御用意いたしましょう。

キャラメルと塩、どちらが良いですかな?」


「もう、口の中は十分しょっぱいから、甘い方がいいわ」


そう言うと、彼は小さく何かを唱える。


どういう訳か、突然目の前に、大きなキャラメル味のポップコーンが、二つ、現れた。


「私も、よろしいですかな?」


「…お好きにどうぞ」


ー何が何だか…


私に、このチケットを遺した彼女の事もそうだが、ここは、よく分からない事が多すぎる。

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