⑮
「貴方は、とても不器用な方ですな」
「おかしい、かしら…」
「とんでもない」
彼が、何故か嬉しそうに笑う。
特徴的な、自身の顎髭を撫でながら。
「よく、時間が痛みを忘れさせてくれると言いますが、あれは嘘です」
「そうなの?」
「ええ。人は忘れる生き物だと言いますが、実際は慣れる生き物なのです。痛みにしろ、喜びにしろ」
慈愛に満ちた表情で、彼は話す。
「ですから、前に進みたいなら、人は痛みに慣れなくては行けません」
「でも、痛みに慣れてしまうのは、何だかとても怖いわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます