尚白く

破竹

第1話

 真っ白な服に包まれた君はとても綺麗で、思わず見惚れて声も出なかった。ずっと見つめ続けていたいけど今日は特別な日。


 沢山の人に見守られている君に僕は「幸せものだね」と囁いた。


 新しい日常が始まるのは明日からなのか、それとも今この瞬間からなのか。思考は痺れて儘ならず、どちらでもいいかとまた君に視線を送る。


 愛し合ったり喧嘩したり、溢れ出てくる沢山の想い出とこれからの日々への想いに蓋をして、次への扉を開ける。


 二つの指輪は永遠の証。そして灯す火は永遠の誓い。


 もう一度開くドア、現れた君は尚白く。そして尚、綺麗だった。




 立ち昇り、空に溶ける煙さえ君なら。


 この腕の中にいる君の微かな熱も。


 濡れ滲んだ世界の冷たさも。


 全て君がくれたもの。




 だから。


 君と溶け合う日まで、僕は君と一緒に一人で生きていける。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

尚白く 破竹 @hachiku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る