俺以外誰も覚えてないけど、このクラスで異世界に行くのは二度目だったりする

今日から俺が勇者

第1話 俺以外誰も覚えてないけど、異能力が使えたりする

【最長三十分完全記憶能力】


 俺が、俺達のクラスが異世界に居たことを覚えていた原因となる俺の異能力召喚チートだ。そして弱肉強食の命懸けモンスター大戦が日常茶飯事であった異世界において殆ど役に立たなかった能力でもある。なぜなら、そもそも直接戦闘に繋がる能力ではなかったし、ゲームのように攻撃モーションが決まっている敵など野生には存在しなかったので、モンスターのモーションを覚えてもあまり意味が無かったからだ。ぶっちゃけ異世界生活でこのチートが役に立ったのは、他のクラスメイトが使用するチート剣術槍術拳術魔法陣等をこっそり見稽古させてもらった時と、俺だけチートで記憶を残して異世界から帰還したときぐらいだ。(地球生活では学校の小テストや定期テストの度にこっそり利用させて貰っているが、そこは誤差の範囲ということで)

 クラスメイト一同は、一度や二度、三度、四度とそれ以上の回数、異世界でお互いを殺し合った仲ではあるものの誰も何も覚えておらず、(しかも死んだ筈の人間も生き返っているので)今でも恐怖に怯えている俺を除き平穏無事に今ものほほんと地球でゆるふわ青春ライフを過ごしている。

 これは余談だが、俺以外で召喚チートを自発的に発動させたクラスメイトは居ない。ただ召喚時に武術系チート剣槍拳盾銃等を貰っていたクラスメイトたちは皆異世界から帰ってきてから誤差で済まされないほど身体能力が上昇しているし、魔術系チート魔法陣精霊属性等を貰った生徒たちは、これまた言語化不可能なほど頭が良くなった。そして技能系チート鍛治錬金農業家事等の人は器用度が人外になったし、特異系チート記憶鑑定分析言語等の人はぱっと見は転移前と変わらないがそのチートに沿った素の能力が急上昇している。これらのことに当人や周囲含めて(俺以外)誰一人として何も疑問に感じていないので、実質全員異世界帰還チート強くてニューゲームを発動していると言っても過言ではない。

 そんなわけで俺の特異なクラスの紹介を終えたいと思う。









【最長三十分完全記憶能力】

 覚えておきたいと思ったものは最長で三十分間何があっても忘れない能力。

 対象は過去現在問わず自身の経験したもの限定で、五感で得たものに限らず当時の心情も覚えて(あるいは思い出して)おける。

 三十分経過後、覚えておきたかったものを覚えていられるかは素の記憶力次第。

 要するに三十分限定の記憶力に対するぶっ壊れバフ。

 クールタイムは能力を使用した時間分。

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