お注射の時間です。 2
看護師が飛ばされた先はミクリの病室でした。
「ああ~! やられた!」
転移魔法は優れた魔法使いにしか扱えない高度な魔法です。
まさかあんな年若い少女が転移魔法を操れるなんて……。
得意の魔法を
その時、背後から声を掛けられました。
「あのう、もしかしてミクリがご迷惑をお掛けしてしまったのでしょうか?」
振り返ると、メイド服を着た女性と幼い女の子がいました。
「あなたはミクリさんの職場の……」
「ミクリがご迷惑をお掛けしてしまったようで……本当に申し訳ありません」
ひっちゃかめっちゃかに散らかった病室。
床にぽっかり穴まで空いて……。
ミクリの日頃の行いから察すると、彼女の仕業であることは明白でした。
メイド服の女性は何度も看護師へ頭を下げると、魔法の通信機を取り出し通話を始めます。
「私です。ミクリが病棟で暴れて物損被害が出ています。ええ、すぐに修復班を集めて下さい」
メイドは改めて看護師へ経緯を尋ねました。
注射が恐くて逃げ回っているミクリの事を聞くと。
「なるほど……。では早急に連れ戻したい所ですが……。さて、どうしましょう」
メイドは考える素振りを見せます。
ふと、隣にいた女の子がメイドの裾を引っ張ります。
「ねえ、ミクリはどこに行っちゃったの? せっかくミクリが大好きなシュークリーム買って来てあげたのに……」
先程から大事そうに抱えていた箱はミクリへの差し入れだったようです。
それを見つめるメイド。
「そうだ! 良い方法を思いつきました」
何かを閃いたらしく、パンっと両手を合わせました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます