第13話:趣味の共有
「ーーここが4階。音楽系とかカルチャー物が置いてあるフロアだよ」
お昼ご飯を食べた後、中央駅の探索(?)を再開したわたしたちは、3階を一通り見て、4階にきた。
4階は本屋さんや楽器屋さんなどがあるフロアで、参考書の豊富さとか娯楽施設の多さとか、多分一番高校生に馴染みあるフロアだと思う。
「ここにはたまに来るな」
「やっぱりこのフロアは来たことあるんだ」
「ああ。と言っても、ここに来るのは参考書を買いに本屋へ立ち寄るときだけなんだが」
予想通りというかなんというか。一応このフロアには、もっと人気のあるお店もあるんだけど、やっぱりそっちじゃないんだ。
「ちなみに、向かい側のお店には入ったことないの?」
「向かい側…? ああ、ポ〇セ〇か」
そう、ここ中央駅4階には、ポ〇〇ンセ〇〇ー、通称『ポ〇セ〇』がある。
ポ〇セ〇はその名の通りポ〇〇ン関連の商品を取り扱うお店で、人形やカード、お土産など、大きくはない店舗内でさまざまな商品を売っている。わたしはあんまり行かないけど、人形は可愛いから、たまにサーヤちゃんと買いに行く。
「いや、入ったことはある。だが1、2回程度だ。それもクラスの連中の付き添いでカードを見に来ただけで、買ったことはないな」
「そうなんだ」
「ああ。ーー遊〇王はやっているんだが」
!?
「つばさくんもやってるの、遊〇王!?」
「あ、ああ。男子バスケ部のほとんどがやっている。…ん?『つばさくん“も”』?」
つばさくんが不思議そうに首を傾かしげる。まあ、あんまりそういう人いないから、意外なんだよね、きっと。
「じ、実はね。わたしもやってるの、遊〇王」
「……意外だ。これは偏見だが、女性はカードゲームはしないと思っていた」
「あはは、まあそうかもね。わたしも沙彩先輩に誘われなかったら、やろうともしなかっただろうし」
「神宮先輩が?」
「うん。なんか小6のときに友達と見た映画が面白くて、動画を漁っていくうちにカードそのものにも興味持ったみたいで、つられて始めることになって」
確かそれは20周年記念の映画で、初代主人公がメインだったこともあって、いろんな人が見に行ったみたいだったなあ。当時わたしは何も知らなかったから、『シャチョー』とか『AIBO』とか言われても分からなかったけど、サーヤちゃんにつられて見てみて、思いのほか面白かったんだよね。
「そうか…。今度、俺や男子バスケ部の面々ともやってみるか?」
「えっ、いいの!?」
「まといがそうしたいなら」
「ありがとう、つばさくん!! 楽しみにしてるね♪」
まさか、つばさくんとの共通点が他にもあったなんて。
今日はなんて良い日なんだろう!!!!!!
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驚いた。
まさか、まといも遊〇王をやっているとは思わなかった。
かく言う俺も、小学生の頃に誘われた結斗につられて始めた。そんなところまで似ているのは、少しこそばゆい。
そして何より。
『ありがとう、つばさくん!! 楽しみにしてるね♪』
ーー今日は本当に、まといの嬉しそうに笑う自然な笑顔をよく見る。まさかそれがカードゲーム、それも遊〇王で見られるとは思わなかったが。
今度、本当に誘ってみよう。
そう思った俺だった。
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【おまけ】
(少しぼかしていますが、多分知ってる人はすぐ分かります。知らない方はごめんなさい)
「ちなみに、どういうデッキ使ってるの?」
「名前にあやかって、ドラゴン族メインのデッキだな」
「へえ~、やっぱり“社長の嫁”がキーカードなの?」
「あ、ああ。……まさかまといからその言葉が出てくるとは思わなかったぞ」
「……沙彩先輩がよくそう言ってたから///」
「そ、そうか…。まといはどんなデッキなんだ?」
「わたしも名前にあやかって、っていうのもあるんだけど、可愛かったから“水族館”デッキ使ってるよ!」
「水族館? ……ああ、そういうことか」
「上手く決まるとパワーも大きくなるから、使ってて楽しいよっ」
「そうか。その辺りは風見と少し似てるな」
「え、風見くんと?」
「風見のデッキは“文房具”だ。…この前後攻ワンキルを喰らった…」
「う、うわぁ~。(さすが風見くん、勢いが凄い…)」
「だが、そのあと結斗が逆に先行ワンキルを決めたときは、さすがに風見に同情した」
「え?」
「……結斗のデッキは、“アルファベット12文字目が2つ続く、可愛らしい鳥の少女”がメインのデッキだ」
「へえ~、小鳥遊くんも名前由来なんだ。……あれ、“アルファベット12文字目”って…、あ」
「効果を一切受けない、4000ダメージを与えるモンスターを出して、その後その効果をコピーしてそのままゲームエンド。対話をする気がまるでない…。」
「うわぁー、サーヤちゃんみたい…」
「???」
「え、あ、ああっ! えっと、沙彩先輩、最初は“AIBO”が好きで、最初はそれモチーフのデッキだったんだけど、いつの間にか、『満足出来ないわッ!!!!!!』って言い出して」
「·····(そうか、盤面制圧か。人は見た目によらないな)」
「「はぁ…」」
「……それでも、やるか?」
「うん」
「即答だな」
「やっぱり、いろんな人とやりたい」
「そうか…。(このことを言ったら、多分一年のやつらは喜ぶだろうな)」
ーー共通の趣味が見つかったのはいいが、何とも言えない気分になった、翼とまといなのだった。
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後書き
……伏せ字、あんまり機能してないですね。
おまけが本編並に長いのはこれ如何に(¯―¯٥)
キャラのデッキはイメージで決めてます。
ちなみに私は今週マスターデュエルをインストールしました。今はオ〇フェゴー〇と『面白き盾』を交互に使ってます。
本日も11時より、閑話を投稿しています。
よろしければそちらもぜひ
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