第19話

 (※バレリー視点)


 ジョエルは、顔色がかなり悪くなっていた。


 放心状態になっている。

 それもそのはずだ。

 浮気相手が、亡くなってしまったのだから。

 ゲイブの死を知った時は、本当に驚いた。


 憲兵のレナードという人物が、ジョエルと一緒に屋敷にきた。

 そして彼から事情を聴いた。

 今のところ、ゲイブは自殺とみられている。

 ロープで首をつっているところを、ジョエルが発見したそうだ。

 彼はショックを受けていて、ほとんど口がきけないような状態だ。


 第一発見者のジョエルは、憲兵の駐屯所で事情聴取を受けた。 

 そして、放心状態の彼を、レナードがこの屋敷まで連れて来たということだった。


 私はレナードにお礼を言って、彼から話を伺った。

 彼にはコーヒーを渡し、私は自分の分を飲み始めた。

 彼はコーヒーにミルクを足したあと、それを飲み始めた。

 そして、自殺とみられている原因を教えてくれた。


 ゲイブは、ギャンブルに依存していたらしい。

 かなりの前を繰り返していて、借金までするようになったそうだ。

 そして、彼が務める病院の薬品棚から、薬を盗んで闇市場で売っていたりしていたそうだ。

 負けが込んで、借金をしたり、闇市場で薬を売ったりした罪悪感で、自殺したのだろうと見られているそうだ。


「そうなんですか……」


 そんなこと、私は知らなかった。

 ゲイブは、難病を治せる医者として、名前が知られていた。

 それなのに、まさかこんなことになるなんて……。


「彼は難病を治せる医者だったそうですね」


 レナードが言った。


「まさかそんな人が自殺するなんて、と最初は思いましたが、まさかギャンブル漬けになっていたとは……。借金をして、薬を闇市場で売るほど堕ちていたのなら、まあ、自殺というのも納得です」


 彼からは、ショックを受けているジョエルのことに気遣ってやってくれと言わた。

 そして、レナードは帰っていった。


 まさかこんなことになるなんて、思ってもいなかった。

 私はジョエルを慰めた。

 死んだゲイブには悪いけど、これで彼が浮気をすることもない。

 彼は私のところへ戻ってきた。

 私はそのことに、満足していた。


 しかし、このあとさらなる悲劇が起きることを、私はまだ知らなかった……。

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