第22話

 (※リンダ視点) 


 私はレイラに対して、なんの反論もできなかった。

 すると、周りの人たちが、次々と声をあげ始めた。


「やはりあの噂を本当だったのか」


「なんて女なの……」


「人を騙すなんて、最低だわ」


「長い間嘘をついて、ずっとこの屋敷に寄生していたのか」


「病弱だと嘘をつくなんて、人間として終わっているな」


「ずっと前にレイラさんが言っていたのは、本当のことだったのか」


「レイラさん、あの時は嘘つき呼ばわりして、ごめんなさいね」


「それも全部、あの女の狙い通りだったに違いない」


「最悪だわ! あんな最低な嘘つきを一度でも信じてしまったなんて」


「さっさとこの屋敷から出て行け」


「屋敷からだけなんて、甘すぎる! この町からも出て行け!」


「そうだ、それがいい! この噂は町中に広がっているんだ! もうお前に居場所はないぞ!」


 なんなのよ……。

 なんなのよ、これ……。

 まさか、こんなことになるなんて……。

 悔しい。

 何もかも、レイラの狙い通りになってしまったわ。


「言われなくても、出て行くわ! 最後に、あなたたちに教えといてあげるわ! 騙される方が悪いのよ!」


 私は、何も言い返せなかったことが癪だったので、せめてもの負け惜しみを言った。


「なんだその言い草は!」


「少しは反省しろ!」


「なんて最低な人なの!」


「人を騙しておいて、あんな態度をとるなんて信じられない!」


 野次や批判の声を受けながら、私は屋敷を出て行こうとした。


「リンダさん、忘れ物がありますよ」


 そんな私を、レイラが呼び止めた。


「忘れ物?」


 私は振り返って聞いた。


「車椅子です。病弱なあなたには必要でしょう?」


 その言葉を聞いて、私の堪忍袋の緒はキレた。

 もうわかっているくせに……、私を馬鹿にして!


「いらないわ! そんなもの! お医者様から診断された通り、私は健康体なのよ!」


 私は怒りを爆発させながら、屋敷を出て行った。

 なんなのよ、あの顔は。

 私に勝って、いい気になっちゃって。 

 さぞかし気持ちがいいのでしょうね……。

 でも、このままでは済まさないわ。


 いつか絶対、仕返ししてやる。

 今日のことは、絶対に忘れないわよ。

 私は速足に町を歩いていた。

 

 すれ違う人々は私を見るたびに、眉をひそめてひそひそと何か言っていた。

 私が病弱でないことを、みんな知っているのだ。

 もう私に、この町での居場所はない。

 最悪だわ。

 今までは、自分は何もしなくても、周りの人が何でもしてくれた。

 それがすべて、失われてしまった……。


 私は、一人でも生きていけるだろうか。

 不安な気持ちが、私を支配していた。


 そんな時、一人の人物が、私の前に現れた。

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