ダンク馬具工房③


ダンクさんの案内で厩舎へ到着。


「リゼル様、ここが私の友人が運営をしていますシュート厩舎です。騎士団へも馬を納品しています。きっとお目にかかる戦馬がいると思います。今呼びに行ってきますので少々お待ち下さい」

ダンクさんが先に中へ入る。数分後にダンクさんの他に2人走ってきている。


「はぁはぁはぁ…はじめまして。この厩舎の代表をしていますシュートといいます。隣りにいるのが嫁のアーリーです。王都でお噂になられている賢者様がうちの厩舎に直接来ていただけるとは思いませんでした」


2人揃って頭を下げ始める。


「頭を上げて下さい。私がリゼル男爵です、今日は私の家臣2人の戦馬と馬車用の馬を探しに来ました。良い馬はありますか?」

そう言ってクリスとオリビアを紹介する。


「はい、是非ご覧になって下さい。御二人におすすめの戦馬を数頭つれてまいります。自慢の名馬なのでお目にかかると思われます」


そう言って厩舎の方へまた駆け足で夫婦で去っていった。私達が中に行けば良いのに…。全員が馬車から降りてくる。


「馬か。我々ドワーフ族だと乗る機会が少ないからな」


「そうねぇ〜あなた達、重たいからね〜。馬が可哀想よね〜」


いつものようにディーがグローを煽る。日常茶飯事の光景だ。


「オリビア、馬を選ぶ基準とかあるの?」


「そうですね…戦馬を選ぶとするならば、戦場で落馬した際にすぐに騎乗できることが前提になります。鐙に触れることなく飛び乗れることが条件になるので馬の大きさは身長にあった大きさの馬にすると良いです」


私とクリスはなるほどと言った表情でオリビアの話を聞いていた。私もグリフに飛び乗る練習をしなければと心に決める。


「あとは馬上槍の突撃攻撃は馬の体重ではなく自分の体重と強さが攻撃力になります。クリスは体が成長するまでは突撃攻撃は控えたほうがいいですね。クリスは従士ですからリゼル様に万が一があった場合は連れ出して逃げ出せるように足の速い馬が良いかと思います。」


「なるほど、そうなれば僕が選ぶ馬は体高が高くなく足速の馬が良いわけですね」

クリスが納得しながら自分の乗る馬を想像している。


そこに厩務員と共に数頭の馬が私達の前に連れてこられる。


「当厩舎自慢の名馬です!!特にこの2頭は赤子の頃から手塩にかけて育てた駿馬です」


最初に紹介される馬はまだ大きくない子馬のようだ。


「こちらはクリス様におすすめの軽種の駿馬です。親は当厩舎でも足の早い2頭を組み合わせているので将来性が高い馬ですね。今は1歳半なのでこれから走る訓練を始めるところですので、ご一緒に訓練をすると愛着もわきますし、互いの癖もつかみやすく良いと思います。青毛の牝馬で性格も大人しいです」


その後も説明は続いているが、親馬は共に運動能力が高くスピードが速い馬同士らしい。


肌も体毛も黒く全身が黒一色で毛並みも美しく見た目も凛として素晴らしい。


「大人しい馬なので一度触ってみて下さい。馬との相性もありますから」


クリスは優しく馬に声をかけながら鼻先に手を伸ばし、自分の匂いを嗅がせる。


青毛の牝馬は手の匂いだあとにクリスの手を舐めた。


「手を舐めるのは愛情表現の一つです。一度騎乗なさってみてください、気持ちが通じているようであればクリス様との相性は良いと思われます


クリスは厩務員に誘われて乗馬し始める。


「オリビア様にはこちらの軽種と重種の中間の馬がおすすめです。敏捷性と耐久性を備え、激しい運動にも耐えます。短距離走であれば軽種よりも足が速いのが特徴です。性格も温和で見た目も美しい牝馬ですのでリゼル様を守るオリビア様にはお似合いの一頭になります」


目は青色で象牙色の美しい牝馬がオリビアの前に連れてこられる。


「綺麗な毛並みの馬ですね」


オリビアがうっとりとした表情で見つめている。すっかり気に入っているようだ。


他の馬も見て回ったが2人は最初に薦められた駿馬が気に入ったみたいだ。


私は馬車用の馬を2頭欲しいことを伝え、駿馬2頭と薦められた馬車引き馬を購入することにした。


オリビアとクリスは嬉しそうに私に感謝を伝える。


しばらくは2人はクリスの学校後にこの厩舎で訓練をすることとなった。




近い将来、白い剣&黒い槍と言われるかどうか2人次第…

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