魔族出現 その後⑤
土の日、家臣団とディー、グロー、オーリ、ブリード、ペーレで低級者用ダンジョンへ向かう。
「人数が多くなってきたから、そろそろ馬車を新調しないとね」
「オーリに作ってもらったら?」
グローとは仲が悪いが、オーリには嫌悪感がないディーが私に言ってくる。
「流石に馬車となるとオーリ1人で作るには大変だよ。専門の業者に特注品を頼むよ、冒険で得たお金は使ってないからさ、移動の際に快適に過ごせるようにさ。メンテナンスとかカスタムとかは頼むだろうけどね。私が馬と契約できればダンジョン攻略中に馬車と馬を空間魔法に居てもらえるのにね」
「グリフは賢いから契約できたのかしらね?普通の馬とは意思の疎通はできないの?」
「うん、出来ないね。モンスターじゃないからなのかな?探せば会話できる馬がいるかもね」
「リゼル様の騎士として、わたしもいつか戦馬が欲しいです。今は乗る機会はありませんが」
「オリビアは戦馬が欲しいの?明日、ダンク馬具工房に行くんだし、オリビア用の戦馬も見に行こう。相性良さそうなの見つかったら飼おうね」
私がそう言うとオリビアの目が輝く。
「もう、オリビアったら子供みたいよ〜」
「リゼル様、私も従士として馬が欲しいです•••」
「クリスも欲しいの?オリビアはクリスに騎乗技術は教えることはできる?」
「はい、勿論です。お任せください!」
それを聞いてクリスも”ヤッター!!”と喜ぶ。
「もぅ〜2人揃っておねだりして〜」
ジト目で私を見てくるディー。
「ディーも欲しいものあるなら言ってね」
苦笑いをしながら私は伝える。ご機嫌になるディーである。
低級者用ダンジョンに到着。いつものように受付に記入をする。今日のダンジョンの人入り具合を確認をし、魔法の練習をしていることを伝えておく。
「出ておいで”フェン” ”グリフ”」
”がぉ、がぉ?” 「飛ぶ練習がしたい?今日は私は魔法の修行があるからディーと一緒にいてもらえるかな?」
”がぉ!”と一鳴きしてディーのところへ歩いていくグリフ。ディーに頭を擦り付けておねだりしている。
こちらに魔法使い4人がやってくる。オリビア達4人は修行をしている。
「では早速、火魔法の修行を開始するかの〜ちょいと皆で魔法をぶつける対象を頑丈に作ってくれないかい?」
ロンザ、リード、フェンに手伝ってもらって頑丈な壁を作る(土の壁を水で覆いそれを凍らせる)
「氷の大精霊は凄いのぉ〜ほれペーレや、あの氷の壁に全力で魔法を撃ってみなさい」
コクリと頷き詠唱を開始するペーレ。
”ファイアーボール” 直径30cmの火の玉が氷壁にあたるが氷の表面が少し溶けた程度。
「ひいお婆ちゃん、あんな硬い氷の壁を壊せるわけ無いでしょう…」
「次はリゼルさん、火魔法だけで全力で魔法を撃ってほしいのじゃ」
「二重詠唱 ”フレイムランス”」沸騰音と共に炎の槍が氷の壁を貫通する。
「何それ…」私の魔法の威力を見て絶句するペーレ
「ふむ〜。その年齢で中級魔法を使いこなすとは見事じゃの。では、火のマナ操作の仕方から教えていくとしよう」
そこからブリード先生の授業が始まる。
具体的には普段行っているマナ操作をよりももっと細かく操作をすると言った具合だ。
ロンザには重く硬い土の球体を作らせ、リードには水の膜をより薄くさせる、私には小さな火玉の温度を上昇させると言った具合に密度や精密度を重視させる。
「ブリード婆さん、これ意外にマナ食うぞ…」
「誰がお前の婆さんじゃ、ブリちゃんと呼ぶが良い。これはマナの消費を抑えながら強度を上げる訓練じゃ。体が覚えるまで何度も作り直すがよいぞ」
「水の膜を薄くできるようにはなってきました。次はどうすればよいでしょうか?」
「優秀じゃなリード。次は水の膜を厚くし直してから今の状態に戻すのじゃよ。それを何度も繰り返して即座に水の厚さを変更できるようになれば合格じゃよ」
「ブリード先生、火の玉はどうですか?ふむ、だいぶ高温になってるの。それでは今度はその温度の状態の火の玉を大きくしたり小さくしたり操作するのじゃ。慣れてきたらファイアーボールを素早く高温にし大きさを変化する、この2つの操作を何度も繰り返して体で覚えてもらう。慣れてくる頃にはマナの消費を抑えながらファイアーボールの威力や大きさが強化できるようになってるはずじゃ」
3人揃ってマナの効率化を体で覚えていく。結構なスパルタだ…ペーレは横で魔法の基礎になるマナ操作をならっている…あちらは平和だ…。
しばらく修行をし続ける。グローが腹が減ったということで昼食休憩を取ることになった。
「リゼル、グリフもわたしを乗せて飛べるようになったわよ。体も大きくなって成長してる証拠ね」
グリフに昼食を食べさせているディーは上機嫌で報告してくる。食事もよく食べるし、私の魔力も与えてるせいなのか体つきはどんどん大きくなってきてる。大きくなりすぎると屋敷に入れなくなるなぁと想像してしまう。
「こちらは有意義な訓練が出来てます。後ほど壁を作っていただけますか?午後から連携を色々と模索してみます」
クリスもオーリからドワーフ流の槍術を習っているみたいで楽しそうにしている。
「3人共、初めに比べると良くなってきてるな。午後からは違う訓練をするからの」
食事を食べ終わり、またチームに分かれてバラバラに修行を開始する。
「次は走りながらの魔法の詠唱をするぞ。最初は駆け足程度で走りながら氷の壁に各々魔法をぶつけてみるが良い」
「ブリード婆さん、そんなことができるのか!?走りながら詠唱ってやったことないぞ!?」
「いい加減ブリちゃんと呼ばないと魔法を食らわすぞ!やらなければできないのじゃ。いつでも誰かに守られながら魔法を撃ってるようでは三流の魔法使いなのじゃ!一流の魔法使いは動いて魔法を撃つのは基本になるぞ」
「そ…そうなのか??一流か…わかった!俺やるよ!ブリちゃん婆さん!!」
「ブリちゃんじゃ!!」
三人で走りながら詠唱をする…全然できない…最初は歩きながら詠唱が少ない魔法から試していく。
練習をしていると徐々に駆け足で簡単な魔法なら発動できるようになってきたが、体力とマナの両方が辛くなる。
「今日のところはこんなもんじゃな。そろそろ体力もマナも尽きる頃じゃろ」
「ブリ婆、これ…魔術師団の訓練より辛いぞ…」
疲れ果てた声でロンザが愚痴をこぼす。リードも同じような顔をしている。
「また明日もこの修業じゃな。ある程度できるようになったら次を教えるとしよう。魔法を撃ったら走る、走りながら魔法を撃つの繰り返しじゃ。これだけでも生存率は全然変わる。クザンもよく文句言いながら走ってたの〜」
「ははは…閣下もこの修業されてたんですね…」
3人揃って苦笑いをするのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます