秘書の仕事

我が主人は唐突に良いアイディアを出してくる。これは遣り甲斐がある仕事だ。結果が出れば王国の更なる発展に繋がる。まずは代官たちと打ち合わせをして計画書を作成せねばなるまい。久しぶりの徹夜作業だな•••不夜城時代を思い出す。あの時も原因はリゼル様だ•••


今なら村の区画整理も容易にできる。土木工事もリゼル様たちが手掛ければすぐに終わる•••数年で領地が発展するのが目に見えて想像がつく。


リゼル様と計画の打ち合わせをした翌日から動き始めた。


まずは村の代官屋敷へ移動。


代官たちに計画を話す。彼らの目の色が変わる。なんだかんだ私たちは文官だ、実現可能な計画を言われるとやる気を出してしまう、しかも王国の歴史に残るであろう計画だ。我々は、セージ計画と名づけ、人口データ、混合農業の一年目のデータと予定区画整理表などを持ち出し話し始める。圧倒的に人手が足りない•••不夜城で鍛えられた我々とていつかは睡魔との戦いに敗れてしまう•••情熱の限界は人手不足•••




我々は計画を変更することにした。


まずは企画書を作成し、閣下から予算と人材を獲得することに! 孫のように可愛がっているリゼル様が言えば早いが、それは我々のプライドが許さない。難攻不落のドラキュラ城と言われる閣下。必ずこの企画書を通して見せる! 


リゼル様の両腕と言われているのはリード殿とロンザ殿だ。次は我々文官チームがリゼル様の頭脳と言われるようになってやる!






我々は、ドラキュラ城を攻略した。


何度、企画書を練り直したことだろう。閣下が一度で納得してくださった。我々はその場で泣き崩れた。閣下はそれを見て笑いながら褒めてくださった。予算と人材を勝ち取った、これで計画書の作成に進むことができる。やりましたよ、リゼル様!


1週間もすると代官屋敷に文官たちが送られてくる。自薦で選ばれたようだ。彼らは不夜屋敷であることを理解して来てくれた。リゼル様から泉のように湧き上がるアイデアと一緒に戦ってくれる仲間だ。


全員で計画書を作り上げた。


結果をリゼル様にお見せした。満面の笑みでお褒めの言葉を頂けた•••我々は泣いた。これでリゼル様の計画を進められる。次は行動に移す。


測量•区画整理のやり直し、移住者の面接など仕事は多岐に渡る。だが、我々は短期間で終わらせるだろう。こんなものは試練でも何でもない!リゼル様のためにこの施策は成功させて見せる!


温泉に入って疲れを飛ばしてやる!


リゼル様が過去に言っていたことを思い出す。


“温泉があるところには必ず試練があるものだから”

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