5歳 お披露目会⑥

夢を見た。初代勇者と賢者が戦っている夢。


昨日の夜の興奮を抑えて、アイテムボックスを色々試してみる。


今の段階でも思ったより収納できる、これは便利な魔法だ。


披露会に向けて準備が始まる。私はいつものごとく着せかえ人形化。父様と母様は準備は万端、流石に慣れている。ディーも謁見があるので、珍しく化粧をして美しいモスグリーンのドレスを着替えさせられている。完全にメイド達に弄ばれている。リードとロンザは閣下に報告があるので正装に着替える程度。


4人全員の準備が出来上がり、王城へ向かう。

リードとローゼは魔術師団と閣下の政務室へ向かい、ディーとセバスチャンは別室で待機している。


父様と母様に案内され王城の広間へ。貴族のマナーとして爵位の低い順番に入っていく。子供たちがメインの披露会なのでスムーズに立ち位置へ移動する。閣下が私に気づき手を振ってくる、軽く会釈で返す。


全員が揃ったところで閣下のスピーチが開始される。


「5歳の今日の日をむかえ王城へ集まってくれた未来の我が王国の宝達よ、この度はおめでとう。お初にお目にかかる者が大半であろう、私がこの王国の宰相を勤めているクザン・アラビスである。君たちは2年後に貴族学校へ入学する。 今日は顔合わせの意義を含めて懇親を深めて欲しい。 今日は特例で5代国王ラビウス陛下が謁見なさり、皆に御言葉がある心して拝聴するように。それではラビウス陛下、御登壇お願い致します。」


立派な髭を蓄えたラビウス陛下が王座に現れる。 皆が慌てて片膝を立てて頭を低くする。


「皆のもの、くるしゅうないおもてをあげよ。晴れがましき今日の佳き日を迎え実にめでたいことである。


今日は特別に未来の王国の要になる人物を2人紹介する。マイン侯爵家マリーヌ嬢、その場に起立せよ」


額にはうっすら汗が流れ緊張した表情でマリーヌ嬢が立ち上がる。

「うむ。マリーヌ嬢は女性では王国初の二大魔法属性の使い手である。過去、王国には出現しなかった天才女性魔法使いの誕生である。将来、女性初の宮廷魔術師候補である、よって貴族学校入学以降、特例として魔術師団での研鑽する許可を与える。」


小さな歓声が沸き起こる。王国のエリート候補であると国王が認めた瞬間である。マリーヌ嬢は赤い顔をして興奮しながら頭を下げている。


「次に、クリムロード伯爵家リゼル卿、その場に起立せよ」

次は僕の番だ、事前に聞いているとはいえ緊張はする。


「皆のものも噂は聞いておると思うがリゼル卿は鑑定の儀式において初代宰相殿と同じ賢者の資格を神より与えられた。それに伴い騎士爵を以前に与えておる、数ヶ月前にリゼル卿より王国へ新たな研究結果が報告された。これは王国の歴史を大きく変える新たな施策となる、その功績を讃え特例として爵位を陞爵し男爵にすることとする。卿は成人前なので王国より代官を派遣し管理をする旨とする、所領に関することは後ほど宰相より通達させる。5代目ラビウス国王として、リゼル卿を2代目賢者であることを認定し国中に公表することとする。」


愕然としてる僕を他所に大きなどよめきが起こる。



”私の物語に二代目賢者認定が追加される”

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