〜 勇者と私の物語 〜 0歳から賢者やってます!賢者と領主と温泉譚
No-Bitter
第1 序幕
prologue《序幕》
白い空間を抜けると別世界があった
視界が明るくなった
私の目の前に見知らぬ女性が止まった
向側の座席から男が歩いてきた
私の前に2人の笑顔があった
別の世界の匂いが鼻腔に流れ込む
私は異世界へと転生した
今はまだ生まれたばかりの赤子
最初の目標は決まっている
20年後の勇者の誕生までに力をつけること
神との契約
やるべきことは多い
今は始まったばかり
〜 神との邂逅 〜
まだやり残したことはいくつもあった
人生は思えば呆気のないものだ
冬の雪の降る日、私は子供を助けた
代わりに交通事故で死亡した
ここで私の物語は終わるはずだった
薄れゆく景色の中、痛みと共に意識が遠のいていく。深い眠りにつくように•••
「おかしい!」
私は突然と目が覚める
そこは病室ではない
銀世界とは違う白い世界だ
音がない、匂いがない、寒さがない
ここが死後の世界なのか?
「君はまだ元の世界に戻りたいか?」
突然、何処からともなく声が聞こえる
脳に直接響いてくると言ったチープな表現でしか表せない感覚
「戻りたい」
私は声にならない、声を発する
「契約を交わさないか?達成された暁には君を元の世界へ戻す」
「その条件は?」
「世界を救って欲しい。
20年後に誕生する勇者を育て、共に魔族を封印をすること」
「私が?」
「君がだ。
このままだと生まれる勇者の力だけでは魔族の封印が出来ない。そのために君だ。
この条件を飲んでもらえるならば、私の世界へ君を転生する」
「断れば?」
「このまま君は消滅する。今の君は意識だけの存在だ。ここに存在したのはただの運だ。
君の生への執着心が強かったからかもしれない。神が言うのもおかしな話だが運命だと思ってくれ」
「•••契約をする」
「説明する時間がない。生まれ変わる際にいくつかの能力を授ける。20年間であらゆる力をつけろ。この世界の行末を君に任せた」
遠のく意識の中
“私の第二の物語が始まった。”
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