留学?
女神スパリーナかはなんの音沙汰も無いまま8歳になった。
王太子殿下がスバリーナ国に1年間留学することになり、側近のジークハルト様と私も一緒に行くことになった。
「レティ、陛下の命令で一緒に留学することになったよ」
やっと女神スパリーナが呼んでくれたのかな。でも、ジークハルト様まで一緒に行くの? ひとりでいいのに。私はちょっと怪訝な顔をしていた。
「多分今頃、リチャードおじ様に連絡が行っていると思う。スバリーナ国は魔法大国だし、レティが今以上の魔法を学ぶのが国にとって良いと陛下が判断したらしいよ」
前の人生では留学なんてなかったのにやっぱり今の人生は前とは少し変わってきているのだろうか?
「もう、我が国にはレティに教えられる魔道士がいないので、スバリーナ国で学ばそうということらしい。まぁ、この国にレティに魔法を教えられる魔導士なんかいないから、スパリーナ国に行くのは当たり前なんだけどね」
だって私、女神スパリーナの神子だもの。ランソプラズム国の魔法とは微妙に種類が違う。
「私の他に女子はいるのですか?」
行くのはいいけど、殺された時に現場にいた側近達ばかりの中にひとりは嫌だ。
「魔力が強い殿下の婚約者のエリーゼ嬢や魔導士団の団長の令嬢も一緒だと思う。もちろん侍女や従者、護衛もついて行っていいし、私も一緒だから安心して」
みんな高位貴族ばかりで、年上だ。正確には2度目の人生なんで15歳+8歳で23歳だから、私の方がずっと年上だけどね。
今の人生では、ジークハルト様以外は会ったことも見たこともない。前の人生では見てるけど。
「皆さん年上だし、高位貴族ばかりで気が重いです」
私がジークハルト様にそう言うと、急に呆れた顔をした。
「レティだって侯爵令嬢だよ。高位貴族じゃないか。年は気にしなくてもいいよ。」
「それはそうですが、私は社交の場にも出ておりませんし、マナーも自信ございません」
社交の場も苦手だし、ジークハルト様が嫌がるので子供が参加するお茶会にも出たことがない。
「レティのマナーは問題ない。一緒に留学すると言ってもそれぞれのプライバシーはあるし、皆それぞれ学ぶ目的は違うのでそれほど顔を合わせることはないと思う」
王命なら私がゴネたところで無駄だろう。留学先で女神スパリーナの神子だとわかったら、ジークハルト様と婚約解消できるかもしれない。
「ジーク様、私行きますわ。この国とジーク様のお役に立てるように頑張ります」
私は嘘くさい笑顔を作り、ジークハルト様に言ってみた。
「国の役にも私の役にも立たなくていい。私の側にいてくれるなら、私はレティの為になんだってするから」
真顔で言われるとちょっと怖い。
その年の春、私はジークハルト様とともに魔法大国スバリーナ国に旅立った。
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