この風にのる鳥の様に…。

たから聖

第1話出逢い…。

今日から、俺は……

新しい職場の病院勤務が始まる。

病院と言えば、救急業務を考えてしまうのも仕方ない……


俺…鈴村圭斗、いつになく、物思いにふける。患者さんの中には…色々と大変な

人達が居るんだよな…?

【当たり前か、、】


春の風は…まだ少しだけ冷たく…また、

太陽の光がうららかで俺にとっては…


病院勤務という事実が

自分の親への孝行だと分かりきっていた。


小さな頃は…俺は体がそこまで強くなく…

良く入院先でナースさん達と…


ダッフィーのぬいぐるみで遊んだものだ…。


いつしか俺は……

病院関係の仕事に就きたい……と


父親…母親、

それに、おじいちゃんとおばあちゃんに、


恩返しがしたかった。

看護士を目指して…学校に通ううちに、


俺には…強い使命感が

生まれた。


『たくさんの患者と向き合って……助けて行きたい…。』等と…。


当たり前の事を考えていた。


勤務先に着くなり、

ナースステーションで自己紹介をする。


『鈴村圭斗です。よろしくお願いします!』と俺は頭を下げる。


途端に拍手が沸いた。


こんなに歓迎されるんだ……と少しだけ、

驚いたが…。


何とか俺に出来る事を…頑張ってこなしていこう。

と強く願ったのだ…。


1人のナースが、

『鈴村くん!?』と

俺を呼ぶ。振り返ると、そのナースは婦長だった。


『ちょっと、頼みがあるの。ある患者さんの事なんだけどね……。実は……。』

新米看護士には… キツイ患者であると、


その婦長は言葉を詰まらせて…いた。


俺は…勢い良く…

『任せて下さい!』

『そぉ…?大変よ…』


『大丈夫です。』

ある病室に案内されると……

一瞬で目を惹く美少女が、空を見ていた。


(この方ですか?…)

(そうなの。ちょっと難しい子なのよ…)


と婦長は、よろしく鈴村くん…とだけ残して

急ぎの用事へと走っていった。


圭斗は、その美少女に声をかける…。と

その美少女は、いきなり圭斗に…


憎しみの眼差しを向けてきた。

『わたし……あんたみたいな新米、幾人も蹴落として来たわ!……わたしは貴方みたいに訳わからずな…新人の相手しなきゃいけない理由が、分からないのよねぇ……?まぁ、すぐ辞める事になるわ!クスクスっ!』


そんなふてくされ気味の患者は、鈴村にとっては

珍しくなかった。

相手の仕方も心得ている。


『ま!そう言わず、よろしく…!』


俺がまさか…その後、この美少女に酷い仕打ちを受けるなんて、


思いもよらなかった。

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