怪盗の地
バブみ道日丿宮組
お題:黒尽くめの民話 制限時間:15分
怪盗の地
怪盗と呼ばれる存在はこの街の民話によく現れてる。義賊であったり、本当に犯罪ばかりする怪盗だったり、何にしても何百、何千冊と図書館には特大のエリアが設けられてる。
ある民話によると、なんでも世界中にいる怪盗はこの街が原点だというくらいで、とてもじゃないけど民話というレベルじゃない。もはや歴史そのものだよね。
そしてなんていっても、博物館にある資料や展示物がその歴史を物語ってる。
それはね。
海外の小説や、歴史にいる人物の身に付けてたものが博物館には飾ってあるんだ。そうなると、1つ疑問が浮かぶ。
怪盗は、私と同じ日本人の怪盗なのかなって。
だから博物館の人に聞いたんだ。
そしたらそれは違うーー怪盗の先祖である人が先生としてその技をたくさんの人に伝授していったと教えてもらったんだ。先祖は100の言語を取得し、100の技を持ち、100の顔を持ってて誰にも本物を覚えてる人はいないんだって。
おかしな話だよね。でも、日常にある怪盗の記憶は私に事実だと後押ししてくる。
『世界中の怪盗はこの街が発祥の地である』というのは嘘に思えなくなる。
「……ふぅ」
「今のなかなかいい走りだったね? 少し痩せた?」
「痩せたからってはやくならないよー」
私も怪盗の血を受け継いでるから、運動能力テストではわりと日本のランカーに近いものがでてる。だけど、ここだとそんなに驚かれないし、記録として報告されることもない。
みんな怪盗の訓練を受けてるーーそれがここでの体育。
もちろん、何かを盗んだりはしないんだけど、歴史をなくさないように何か起こった時に行動できるように準備をしてるんだって。
「いいことなんだよね」
「さぁー悪いことに使うこもいるから、あたしにはわからないよ。オリンピックに出れないのが悔しいくらいだよ」
親友はいつもの愚痴をもらす。
怪盗の地で得たものを表立って出してはいけない。
それが怪盗が黒い靄に隠れて、より不思議さを増す。そんな理由だったりする。
私は将来落とし物を一瞬で届ける仕事をしたいなって思ってるけど、怪盗の血ってバレないかちょっと不安だったりするけど、親友は応援してくれてる。
怪盗の地 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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