群馬の謎
バブみ道日丿宮組
お題:群馬の窓 制限時間:15分
群馬の謎
日本で危険地帯と認定されてる県がある。
その県から見えるのは血と、何かの実験生物とされる。
「群馬行きの電車がある時点でおかしくないか?」
友人に卒業旅行として危険地帯認定された群馬に潜入しようということになったのだが、
「普通に切符は変えるわ、駅員にもいい旅をなんて言われたぞ」
「噂は噂でしかないかもなー。ほら、うちの大学にも群馬出身のやついたろ?」
確かに……メガネかけておとなしそうな女性がそうだったが、それが本当なのかはわからないぞ。コミュニティケーションをとるのがあまり得意そうじゃないからふいにそういっただけかもしれないし……。
何にしても人を疑うのはよくないか。
「しかし、群馬に入ってから森しか見えないな」
電車の窓から見えるのは、緑。
噂で聞く血の赤、不思議な生命体はどこにもみえない。
「噂が本当だったらさ、電車襲われて運行してないじゃん?」
ただのキャンプになるだけだよと、友人はうまそうにウィスキーを飲んでく。
死人がでるかもしれないというのに上機嫌なことだ。
「……」
携帯電話の電波はいつの間にかたたなくなってる。そして方位磁石も回転し続ける。異常地帯というのは確かそうだ。
電車が動いてるということは電気は通ってるという証ではあるが、次の駅にはいつ止まるんだろうか?
群馬に入る前の駅から既に1時間ばかり経過してる。
「なぁ今どこらへんかわかるか?」
「さぁなGPSも役に立たないし、群馬の中心あたりじゃないか?」
すっかり出来つつある友人は役に立たなそうなので、きられた切符を再確認する。
そこには『群馬』という文字が書いてあるだけで、駅名らしさはない。
「……んー」
つけばわかるか。
そう油断して、眠りについてしまったのが俺たちの運命を変えてしまった。あの時すぐに電車から飛び降りるなりしてれば、少なくともーー人の味を知ることはなかった。
「あれ……電車止まってるな?」
眠ったことに気づき、友人を叩き起こすと、友人も異様さに気づいたらしい。
窓から見えるのは霧に満ちた森。
そして時折聞こえるなんらかの声。
「ここが群馬か……?」
「どうだろ、駅長さんか他の乗客に聞いてみようぜ」
友人に続くように先頭車両までいくが、誰もいなかった。
いや、いた形跡はあった。
なぜか衣服だけがのこり、そこにはさっきまで流れてたという血がぽたりと床へたれてた。
「……」
ごくりと神経を研ぎ澄ませ、駅長室を開くと、
「誰もいないな、いや……ここが始点か?」
友人が状況把握を始める。床に散らばる血、機械に飛び散った血を次々に触る。
「暖かいってことは、ここにいたということだな。乗客はわからないけど……」
友人の視線は、開かれた扉に向いた。
自然と友人の考えることが読めてきた。
何かが襲ってきて、駅員だけが逃げたか、駅員が例の不思議な生命体だったのかと。
「さて、卒業旅行としては最悪な始まりだがいってみるか」
「無事戻れるといいけどな」
そういって、俺たちは3年もの間隔離された日本に入り込んでしまった。
群馬の謎 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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