私と先生の関係
バブみ道日丿宮組
お題:私の食事 制限時間:15分
私と先生の関係
どうしてそんなにみんなは美味しそうにご飯を食べるのだろうか?
いっぱい食べるから成長して大きくなれるのだろうか?
「お前いらないのか? ならもらうぞ?」
「うん、いいよ。ありがとう」
給食のいつものやりとり。少しだけ友人たちは寂しそうな顔をする。
私のお皿にあるものはほとんど減ってない。
なくなるのはお味噌汁と牛乳ぐらい。
たまにパンが食べれるくらい。
「デザート今度きたらあげるね!」
友人たちは笑顔で言ってくれる。
私が唯一食べれるのが流動的なものだから、それを知ってるからみんな食べたいものを我慢してくれる。
もちろん、それを横取りしようとするガキ大将みたいなのがクラスにはいて、
「好き嫌いしてるだけだろ? デザートなんてご褒美はこいつにはふさわしくない。俺みたいにスポーツ万全、なんでもできるやつがもらうべきさ」
そういって彼は私の茶碗を強奪し、ご飯を食べる。
「ありがとう」
私がそういうと彼はなぜか照れた。
「なんだよ、笑うなよ。お前ら! ほんとのことだろ!」
クラスが明るい雰囲気に戻った。
私が少しも食べないので、昼の会話は弾まない。それをガキ大将の彼はいつも場を和ましてくれる。友人は彼が私に気があるからっていうけれど、ちょっと私にはまだ恋がわからない。
だって、自分の食べたいものがわからないのに……人の好き嫌いってものがわかるはずない。
「……ただいま」
家のマンションにかえると、当たり前のように誰もいなかった。引っ越したばかりのように何もない空間でただ私の寝る部屋があるだけの世界。
「……」
机の上には先生の手紙と注射があった。
『19時に投与して、冷蔵庫のカプセル剤を飲むこと』
赤字でとてもきれいな字。
私の小さい頃は病院で暮らしてたから、この先生の字を凄く練習したものだ。今では私のほうが綺麗になってきたかなって思う。
何でも私の病気の対策が見つかりそうだからっていう話で凄く忙しいみたい。
なかなか最近はあってもくれないから、月末の総合検査の時に顔を合わせるくらい。あったときに何を話そうかと、袋に入ってた注射と、冷蔵庫の中身を見ると、
「……うーん」
気が滅入った。
緑の液体が入った注射と、赤い粉薬がつまったカプセル剤。
なんていうか、色のバランスがはげしくて唐辛子とブロッコリーを身体に直接入れるみたいで食べたこともないのに不味そうに感じた。
実際注射は味がしないけど、カプセル剤は人工の味。
先生は甘くできるともいってたけど、食べれるようになったら先生のご飯が食べたいと私は断った。
そんな私を先生は撫でてくれた。
私を捨てた両親に変わって引き取ってくれた先生は、私をモルモットのようには決してしなかった。他の先生がいじくり回そうとしても自分が全て責任を持つとサインまでした。
私と先生は、同じ苗字を持った家族。
でも、本当の家族になる日は、きっと私が先生の温かいご飯が食べられる日なんだと思うの。
私と先生の関係 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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