産まれと育ち

バブみ道日丿宮組

お題:今日のゲストは犬 制限時間:15分

産まれと育ち

 家でお留守番。

 というのは建前で警察署というのが私の家。

 どうやら、父と母は犯罪者でその中で産まれたのが私ということ。

 牢屋に入れておくことも、孤児院に入れることもできないらしい。

 というのも犯したものがあまりにも酷くて、他の子どもに影響を与えるかもしれないからという理由らしい。

 だから、警察署にいる人が私の先生であり、親であり、友だちであったりする。

 うーん遠い親戚繋がりのコネというのもあったらしい。

 親戚に指名手配されるようなものを呼び起こしてしまうとは指導が足りない。

 ってなわけで、私は警察署で勉強。

 小学校なんて行ったこともないけど、それ以外の何かは警察官の人と同じ訓練をしてる。最初はわからなかったけれど、だんだんとわかるようになってきた。

 教えてくれるのは配属されはじめの人とか新人さん。

 署内の雰囲気に慣れるのに、私って存在は凄く助かるんだって。

「……はい?」

 控えめなノック音が部屋の外から聞こえた。

 私は電子ロックを解除すると、中に今日の指導員を招き入れた。

「相変わらず君のセキュリティーは嫌われてるくらいに厳重だね」

 本音をいってくれる面白い人。

「それでも署内に部屋があるのは私だけですから、特別気分です」

 にっこりと私は笑顔だけを返す。

 警察と、親戚、そして謎の金額投資がなければ私は実のところ胎児のまま殺されてたらしい。犯罪の子は犯罪をする。そういう意味で怖がられてたみたい。

 今だと凄くわかる。

 心理は遺伝する。考え方のパーツが祖先から子孫へと何かしら影響を受けるもの。そう……頭の回転がはやいというのが私の場合の遺伝。

 そのおかげもあって、少し事件操作で役に立つこともある。機密情報は見えないけど、新聞とかの情報で浮かんだことを伝えるぐらいのアドバイス。

 当たることもあるし、そうでもないときもある。

「さて、何を考えてるかわからないが今日はこのこを指導してみようか?」

「ワンちゃんですか?」

 部屋に入ってきた時から見えてたがずいぶんと大きな犬だった。立ち上がったら私の倍はないけど……押し倒されるくらいのボリュームだ。

「新しい教育として、捨てられた犬たちを君のアイディアで警察犬として再び世に溶け込ませてほしいんだ」

 そういって指導員は、ワンちゃんの頭を撫でた。けど、あまり元気はなかった。

「わかりました。期限と予算は?」

 私は手綱を受け取った。ワンちゃんは特に反攻する様子はなかった。

「期限は特にないよ。はじめてだからね、他の勉強と合わせてゆっくりとどうすればいいか考えてデータにまとめてみて欲しい」

 そういって指導員は部屋の外へ向かおうとした。

「あぁ予算は君の消えないのがあるからそれを自由に使って構わないだそうだ」


 その言葉を聞いてちょっとうれしくなった。

 ペットではないけれど、他の子どもたちが触れ合う動物といられるなんてね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

産まれと育ち バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る