ホテルの主

バブみ道日丿宮組

お題:興奮したホテル 制限時間:15分

ホテルの主

 これといって取り柄もなかった幼馴染。

 学校に来なくなったと思ったら、いつの間にか世界ランキング上位に食い込むほどのお金持ちになってた。

「引きこもりがどうして、こんなホテル作れたんだ……?」

 作れたというか、いったいいつから工事が始まって終わって出来上がった?

 ここは地下。入り組んで水道や、電気、ガス、地下鉄と様々な干渉するエリアがあるはずだ。それを無視するように大きな敷地を取ることなんて不可能。

 まさか、最初から存在してた?

「まさかって顔してるね。そうまさか最初からあったんだよ、この防空壕のようなホテルがね」

「ありえねぇ……。で、成績悪かったお前は経営者になってなんとか生きてるってところか」

「外は危険だしね、ここならミサイルも耐えきれるしセキュリティーもきちんとしてる」

 そういって幼馴染はテーブルのパネルを叩いた。

「見ててね」

 突如として上から大きな瓦礫が落ちてきたかと思いきや、赤い光がそれを一瞬にして溶かした。

「凄いでしょ。何かあればこれですぐに消えちゃうの」

「人とか消してないよな?」

「うーん、監視カメラシステムによれば50人以上は死んでるかな? って怒らないでよ!? みんな犯罪者で私を狙ってきたんだから!」

 狙う……? ホテルの管理者だからか? 富豪だからか?

「実はねここのシステムって、国のセキュリティーを崩壊させるくらいのものなんだって」

「まじかよ……ありえねぇ」

 そんなのを持ってるこいつがほんとありえねぇ。

「だから、ホテルに泊ってる人はお金持ちで安全を望む人ばかり。著名人やら追われてる人もいるよ。あぁそういう『犯罪者』もなかにはいるね」

「なんだよ、犯罪に加担してるのかお前?」

「ビジネスだよ。警察もここには迂闊には手を出せない。向こうが鎮圧されるのが先になるだけだからね」

 こいつってこんなに攻撃的だったかな? 学校に来る前はおとなしい読書愛好家だったはずだが……。

「契約上ここにいる限り一定の監視もついてるからね、犯罪しようとしたらさっきと同じように抹消されるから、一応安全ではあるよ」

 犯罪者と同じホテルで生活か……安全って気がしねぇな。

「それで私はここからもう出れなくなったから、君もここに残ってね?」

「はぁ? 明日も学校あるんだぞ? 急に呼び出して帰るなってーー」

 後を言おうとした俺の口は幼馴染の口で塞がってた。

「な、なにしてんだよ!?」

「キスだよ? 後継者も作らないといけないから。私のDNAを持つ人間しかここのシステムは動かせないから」

 言ってることはわかるけど、やろうとしてることがわからない。

「で、で、で、俺とそういう関係になりたいのか?」

「ダメかな? 私じゃ? これからもずっと一緒にいたいんだ。幼稚園の時と同じように1人にしないでくれるのは君しかいないの」

 潤んだ瞳、脳を襲ういいフェロモン。

 元々幼馴染に悪い感情を持ってなかった俺はーー数時間、数分も持たずとして幼馴染を伴侶として認めることになってしまった。というかやってしまった。


 その後はホテルの管理をどうやるとかの説明やらを教えてもらい、なんとかホテル経営を増やしていった。

 そうこの国がホテルになる。

 誰もそんなことになるとは思いもしなかっただろうな。

 この後は、俺の子どもたちがどうするかだが。

 はたしてな?

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ホテルの主 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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