靴の到着が意味するもの

お題：遅すぎた靴 制限時間：15分

靴の到着が意味するもの

　靴が届かない。

　いや靴がきたところで、着てく服がないのだから意味がない。

『結婚式にはちゃんときてよね』

　テーブルの上に置かれてた手紙は、怪しやしかないものだ。

　一応言っておくが、引きこもりの俺にそんな存在はいない。

　というか親もこの家にすんでいないというか死んでる。

　つまりは俺の知らない間に強盗か、泥棒がこの家に入ってきたということだ。

「……」

　しかし、探しても荒らされた様子はどこにもない。

　丸投げしてるお金は減ってないし、親の遺品が何一つとして消えてない。

　遺品がなくなったら、普通に働かなきゃいけないレアものだからしまっておけばいいんだがね。

「思い出もあるしな……」

　一体いつから貯め込んでたのやらというか、交通事故が起きるなんてことをまるでわかったような保険のかけ方しやがって……疑いしかもう外の世界には持てなくなったよ。

　ただの写真立て、だが数百万とする遺品。

「ふぅ……」

　一度リフレッシュするか、親の遺影に線香をし、一呼吸。

　親に挨拶。

　結婚式にこいって、恋人っぽいのがいるんだが知らないか？　知らないよな。俺も知らない。天国からアドバイスはもらえないとは思うがほんと困ったよ。

　服は全裸だが、許して欲しい。

　こっちのほうがなにか人間らしくなったような気がしてね。

　もちろん、宅急便なんかが来るときはコート羽織ったりしてカモフラージュは完璧だ。

「……」

　しかし、この手紙期日は明後日。

　靴がくるのは今日か明日。

　確認しにいくのはいいが、質の悪いいたずらか……犯罪者が俺を拉致監禁するかもしれないな。用心にスタンガン、防弾チョッキ、催涙スプレーといろいろ用意はある。

　だが、可愛い女の子だったらどうしようか。

　犯罪に巻き込まれてるとはいっても、乱暴に対処できるのか？　いや、もしかして本当に結婚式で結婚しちゃうこともありえるのか？

「あぁ……」

　いろいろ考えてたら下半身が反応してしまった。

　そういうことはありえないとはいいきれないが、ないと考えて守りに徹した方がいいだろう。一番いいのは行かないことだが、既に侵入されてると考えると会う以外に選択肢がない。

　合鍵かピッキングか、方法はわからないがな。

　さて、カメラも設置したことだし一眠りするか。

　そして俺が目を覚ました時、そこはもう結婚式場だった。

　しかも注文してた靴を履かされた状態で、俺は座ってた。