許嫁の彼女

バブみ道日丿宮組

お題:部屋とYシャツと夕飯 制限時間:15分

許嫁の彼女

 預かったのはいいがまさか部屋着がYシャツ一枚っていうのはいったいどういう教育をしてきたんだ。

「なぁ、せっかくワンピース買ったしそっちきないか?」

「ううん、お兄ちゃんのYシャツが一番暖かいの」

 暖かいね……。カレンダーに目を向けると11月末。どう考えても寒い。いや、確かにこの部屋には暖房はかけてある。

 たとえYシャツでいようと寒さはよっぽどじゃない限りは感じないはずだ。

「そうはいっても、乙女である自覚があるなら下着を異性に見せるのは感心しないな」

「許嫁なんでしょ? いいじゃない。唾でもつけておく? ほら」

 そういって、Yシャツのボタンを開きまな板を見せつけてくる。数年後には結婚する相手とはいえ、今見るものじゃない。

「あのな、まだ学生なんだろ? そういうのは大切にしろ」

 無理やり開門した俺の理性をYシャツごと閉じた。

「ふふ、反応してるってことは魅力あるんでしょ、あたしの身体でも」

「……なんとでもいえや」

 はぁ、15歳で、お互いに同意があり、親からも認められてる。警察の厄介になることはないのだが、空回りされるのは警察より心が折れそうだ。

「寝てる間に触られてるんだよ、知ってた?」

 まじかよ……抑えろよ、俺の理性……。

 卒業式まではなにもしないって決めたじゃないか。

 お母さんたちは、もう既に孫を見たがってるが、冗談じゃない。学生でありながら子育てがどれだけ大変なのかをあの人たちは……知ってるか。

 あの人達、中学生の頃にはもう同棲して子どもいたんだっけか?

 この国の社会はどうなってるんだ。金持ちのいいなりってか……。

 彼女は名家のお嬢様だが、窮屈そうな3LDKの部屋をお気に召してる。俺は俺で分家にあたるから金がないわけじゃないが……うーん。

「あとそのお兄ちゃんもいい加減やめろよ。あと3年のうちにな」

「あなたの方がいい? 先生?」

 悪ガキというか、意地悪ぶってるというか、本当に穴という穴をつついてくるのが上手いものだな。名門校に通ってるだけはあるか。

 いや……成績がいいのは彼女だけじゃないのは、教師である俺が一番知ってる。

 今や女学生が政権を握る時代。

 男は裏方にまわることが多くなった。

 それは出生率が圧倒的に女性が少ないからだ。何をしても、男のほうが多くなる。だからこそ、女性が大事にされる。

 どこにいるかは埋め込まれたチップIDで管理され、男には外せない腕輪という鎖。犯罪防止で、女性に許可、認知されてない対象に近づくと痛みが腕輪から出る仕様だ。

 だからこそ、ほとんど男は表には出てこなくなった。

 でれるのは、俺みたいに教師になるとか人に認知されたものだけだ。

「なぁ夕飯はできそうか?」

「いい匂いしてるでしょ、まってよお兄ちゃん」

 背が小さいからダイニングキッチンでも頭しか見えない。

「明日も早いからな、多少栄養をとらないと……」

 女学生は力強い。接近されるだけで心を持ってかれそうになる。そうなると怒られるが。

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許嫁の彼女 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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