机の行方
バブみ道日丿宮組
お題:穏やかな机 制限時間:15分
机の行方
朝教室に着いたら、
「なんだこれ」
机がなかった。
椅子だけがきちんと生徒の数分並ぶばかりで、クラスメイトは慣れたのか知らないが椅子に座って世間話をしてる。
「おう、これまた面倒な状態だな」
「あぁそうだな」
声に振り返れば友人が呆然とした視線を教室内に巡らせてた。
「机どこいったんだ?」
「俺もさっききたから知らないがどこかにいったかはわかる」
友人ははてなマークを浮かべたので、上を指した。
「こんなことするのはあいつしかいないだろ」
「いや、さすがにこんな面倒なことやるか?」
面倒だからやるんだよ、あいつは。
「さてあいつに説教する前に穏やかな教室に戻そう。教師に怒られるのもめんどい」
「たしかになー」
俺が足を進めると、友人が後に続いた。
いつもの光景。
三馬鹿と呼ばれる俺たちの中で特に例外な行動を取る異端児。
「なぁ屋上って、柵なかったか?」
「よく見ろ、机が足場だよ」
ほんとだとあっとしてる友人を後にし、屋上を見渡すとパンツ丸見えの女子学生が空を見てた。
「さてとりあえず道を作るか」
「撮影もしとくか、あいつのパンツ姿結構な値段で売れるんだよな」
盗撮だろ、それは……。しかし、目の前のやつの写真が売れるのは事実。顔だけ見れば可愛い。しかも身長も小さいから小動物のように愛されてる。
やること全て許される節があるが、代わりに怒られるのは俺ら二人。保護者ってわけじゃないのにな……。
「さてと……」
ある程度机を階段の下に運ぶと、彼女の乗る机に近づいた。
先程よりもパンツ丸見えになってるが彼女は気にするよう素はない。相変わらずエロい柄のを着てるのが心臓に悪い。
俺も男であるからな。
だから、
「降りろ!」
「うぇふぇ!?」
足を引っ張り、友人へとトス。
「ナイスキャッチ」
友人も手慣れたものだ。さらっとお尻を触るあたり将来犯罪者になるだろうなと冷静な判断をしてると、
「何すんだ、馬鹿者! 怪我するだろ!」
無表情だった顔にキレマークが見えるくらい怒りゲージがマックスの彼女が近づいて叩いてきた。
「しないようにしたから大丈夫」
何度もやってれば、自然と扱いにも慣れる。
たとえ相手が女子生徒であろうと、悪友には違いない。ならば、制裁のごとく収拾はつけてもらわなきゃいけない。
「いいから片付けるぞ?」
友人も彼女も途端に嫌そうな声。
「おい、お前ら散々楽しんだんだろ? 俺は怒られるのだけは簡便だ!」
楽しんだ?と彼女が考える動作をする前に友人はさっさと片付けを始めた。
「ほら、お前も運ぶぞ」
「もう! いいところだったのに!」
はいはいと、頭を撫でるとふしゅーと不思議な声を出した。
「へんなことは俺の家だけでやれ」
「愛妻にしてくれるの!?」
「しないしない」
駄々をこねはじめたので、無視し机を友人にトス。
結局ホームルームが始まるまでに机は戻せなかった。
机の行方 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます