わさび醤油もいただけますかしら?
という展開もあって、ポニテちゃんご観覧試合は、5ー2で見事ビクトリーズの勝利。先発した小野里君は6回1失点のナイスピッチング。
打線も少ないチャンスを今日はしっかりものにして、俺も今日はデッドボールもありつつの3打数2安打を記録し、ニッコニコでみのりん部屋へと帰還した。
そこには、じゅーっといい音を立てて焼けるステーキの匂いと共に今日苦楽を共にしたポニテちゃんの姿があった。
普段スタンドから応援する時とはまた違う、興奮、経験に、彼女のテンションはいつもより2割増し。胸のボリュームは3割増し。
こうなると部屋主であるみのりんが邪魔に感じるまである。
「あのホームインしてガッツポーズしながら、並木選手と抱き合ったシーンは本当に感動しちゃいました!」
「いやあ、あの場面で初球を捉えて長打にする阿久津さんが凄すぎるよ」
「新井さんがデッドボールだったから、阿久津キャプテンが燃えたっていうやつですよね! 珍しく2塁ベース上で何度もガッツポーズしてましたよ!」
「まあ確かに燃えるものはあっただろうし、あのタイムリーで一気に試合の流れを引き寄せたからね。意味のあるデッドボールになってよかったよ」
「もちろん、新井さんがしっかりヒット2本打ったのも頼もしかったですよ! ね、みのりさん!」
「2人とも、ステーキお待たせ。ソース、シャリアピンと和風があるから食べ比べてみてね」
「「わーい!!」」
野球シーズン真っ盛り。
プロ野球が開幕して、交流戦が終わる頃になると、いよいよ暑さというものも本格派してきて、毎週のように6試合をこなす前半戦最後の正念場な時期に差し掛かってきた。
前半戦と後半戦の間には、東日本リーグ、西日本リーグの人気選手が一斉に揃うオールスター戦があるわけだが、そのファン投票も開催されており、先日その中間結果が発表されたわけである。
東日本リーグオールスター戦ファン投票、外野手部門。
1位
新井(北関東ビクトリーズ) 15万6千票
2位
藤並(北海道フライヤーズ) 11万7千票
3位
佐藤(東京スカイスターズ) 11万2千票
4位
安東(東北レッドイーグルス) 10万8千票
どうやら東日本リーグの外野手部門で俺がトップに君臨しているということになっているのだ。
もしかしたら、半分くらいはみのりん票なんじゃないかとも疑っているのだが、確かに去年も、あと2週間早くデビューしていれば……なんてよく言われたことも思い出す。
その時のこともあるから、とりあえず外野手は新井に入れておこうというファン心理が働くのだろうけど、それでもファン投票1位になるというのは素直に嬉しい。
自球団以外のファンからも支持されているということなのだから。
夏の熱さもあり、長いシーズンの中でまずは最初にドンと疲れを感じてしまう時期ではあるが、そのオールスターの中間結果の発表でモチベーションが上がった俺の調子はさらに上がった。
交流戦明けから、北海道、埼玉。ビジターの横浜、ホームでの東京、東北、ビジター埼玉、ホームでの北海道。
都合21試合で50打数22安打と打率4割をキープ。
ファン投票でも2位に入っている藤並君の打率3割4分6厘をさらに引き離す猛打ぶりが炸裂。
まあ、9割はシングルヒットですが。2番に入る俺がそんな繋ぎの役割に徹する中、3番阿久津さん、5番シェパードが好調ですから、効率よく点が入る。
先発陣はそこそこながらも、勝ちパターンの奥田さん、ロンパオ、キッシーのリリーフ3人衆の状態がよく、リードして終盤に入ればそのまま勝利を手に出来るいい形。
その直近21試合を12勝8敗1引き分けと借金を減らし、5位横浜に3ゲーム差まで詰め寄る形で、ビクトリーズスタジアムにその横浜ベイエトワールズを迎える週末に差し掛かっていた。
「打ったー!! 大きな当たりだー!! レフトバックする! バックする!入りましたー!! 3番阿久津に勝ち越し2ランが出ましたー! 今シーズン第9号!!」
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