7話 汚れが落ちない
くそぅ……おちない。おちないぞ。
どうしてこんな時に限って、石鹸が無いんだ?
俺は悪くない……あいつが悪いんだ。あんなに目を輝かせて、興奮して勧めてくるのが悪い。俺は要らないって言ったのに、あんなに強く勧めてくるから……友人として、見逃せるわけがないじゃないか。
それに、あの店主もだ。
あの店主も悪い……いや、腕はいいんだが。やっていることは、生き物の肉を油に投げ入れているだけだぞ……それを、あんなにニコニコと。黄金色の海の中を華麗に泳ぐアイツらを見せられて、我慢できるはずがないのだ。
俺は、油に魂を売ってしまった。
なんで……どうしてなんだ。
どうして、露店で売っている唐揚げはあんなに美味いんだよ!
だが、後悔してももう遅い――俺の手と口は既に、油分にまみれてしまっている。
それはつまり、俺のダイエットが三日坊主で終わってしまったことを意味していた……。
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