マイナスからプラスまで

新賀 田楽

あたふた朝

私の一日を神様にでも紹介してみよう。


 瞼を動かして時間を確認する。5時51分。少し寝るか迷う。でも、まぁ起きたほうが良いだろうと、根拠も知らないのに身体を起こす。


 今日の服をハンガーからとり、昨日の服を脱いで、お風呂場のドアを開ける。節約のため、シャワーをちょっと浴びながら、頭と身体を洗う。この時に歌を口ずさめば、少し何かを感じる。これが幸せだったらいいなと。パサパサのバスタオルで雑に拭きながら、今日を考える。はぁー、ため息が出る。というかもう出た。はぁー、2回も。袖を通し、ズボンも履いて洗濯物はポイっと。


 机の上にあるリモコンを掴み、テレビを。関係ない世界を耳に入れる。ニュースキャスターさん達はすごいな〜。毎朝、悲しい事故や事件を読み上げて、私だったら1週間ももたないかな?まずなれないけどね。マイナス思考は置いといて、ポッドで水を沸かし、朝ご飯のインスタント食品の包装を取るのに手こずる。たまにあるよね。


 湯ができるの待っている間、布団の上にある充電器と仲良くしている携帯を、ごめんねと思いながら離れ離れにする。アプリゲームにログインし、ボーナスを貰う。私だって1日の記憶をこれから入れるのだから、100円ぐらいそっと枕元に置いて欲しい。ちゃんと聞いてるかい、神様。ゲームで脳を働かせ、時間が経てば、ポッと合図が聞こえた。ん、ポッドでポッと音がなる。よし。


 あと、3分。これほど許せない時間を作ったインスタント食品は何の罪に問われるか。裁判を始めよう。検察側のケンの意見は、忙しい朝に、3分もただ待つという行為は時間泥棒罪になる、という。それに対して、弁護側のベン。彼は、それなら時間に余裕がある時に食べればいい、と。ふむ、なかなか手強い裁判になりそうだったので、裁判長の私は、権力を使い、強制閉廷させる。


まぁ、いいじゃん。


威厳ある裁判長のお言葉であった。


 現実逃避と食事が終わり、箸をシンクの中へ、台所からテレビを見れば、6時38分。何故、朝はこんなにも時間が進むのが早いんだろう。歯磨きをしなくちゃ。鏡を見ながら、歯ブラシをシャカシャカ。あれ、目に隈が。昨日はいつ寝たっけ。それだけが原因じゃないのに。歯磨き粉が舌を刺激し始めたなら、ペッと吐き出し、歯磨きを終える。これで、私の毎朝も終わる。


 実は、今日は休日であり、何もする事が無い。正確には、宿題がある。それは、学校という魔王が作ったであろう建築物の中に棲む悪魔、または先生と呼ばれる人間が渡してくる。命を補償する代わりに、自分の有能さをアピールしなければならない。しかも、期限付き。この期限を過ぎれば、説教という恐ろしい呪いを掛けられる。悪魔め。


 そんな物に手を出せる筈もなく、結局、私は何をするのかというと、散歩だ。理由など無い。時間は、6時49分。テレビを消して、軽く荷物を準備し、靴を履いて、玄関の扉を開ける。行ってきますは、とっくの昔に忘れてしまった。


さて、私の朝は想像しやすかったでしょうか。

 何の変哲もない、特徴もない朝。

少し、ネガティブなのが目立ったかな。

出来るだけユーモアを入れてみたけど、笑って貰えたかな?

神様は、どう思った?

 ふーん。

何も聞こないや。

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