ライトノベル作家を目指していたんだが気が付くと8050問題になっていた。

よねちゃん

高校時代

  夢

湖大陸高等学校みずうみたいりくこうとうがっこう文芸部の部室では今日も今日とて他愛もない会話が繰り広げられていた。

 「恋しい人から気にかけて貰えない苦しい感情を表現しているんですね」

 「そうなんですよ」

今月に出来上がったばかりの薄い同人誌をお互い読みあいながら適当なことを言う。

 僕は中学校の頃から読書が好きでどちらかというと恋愛小説よりも人間心理を探求しているような所謂純文学を好んでいた。そういった傾向から将来は作家に成れればいいと漠然と思っていた。まずは学生時代から何か作品を書いていればそのうち自分の才能に気が付いた文壇の偉い先生から注目されるに違いないと思っていた。

 そこで高校に入学するとすぐに文芸部の門を叩いた。ところがちょっと想像していたのとは事情が違っていた。なんと部員のすべてが女子生徒だった。恋愛系のライトノベルに生徒会のなんとかという作品があったように思うがそれに近い感じがした。それとも異世界に行ってハーレムを作るような作品か?まあ、最近はライトノベルとかアニメ、コミックのほうが流行っているのでそちらの方が世に出やすいかもしれないが。大手出版社の丸山書店も昔は純文学作品を出していたが推理小説を映画化したのを皮切りにライトノベルとかアニメ、コミックにも手を広げているようだし。

 先ほど所謂純文学を好んでいたと吐露したがライトノベルも少しは読んでいた。まあ、どこまでがライトノベルかどうかの判断基準は難しいが一つ言えるこことはイラストがあるかないかの違いだと思われる。事実この文芸部の同人誌にもイラスト付きの散文とか詩が多く載っている。

 僕が「恋しい人から気にかけて貰えない苦しい感情を表現しているんですね」と感想を漏らした先輩の女子生徒が書いた詩にもイラストが描かれていた。その先輩の名前は「川原」さんというらしい。しかしながら、なぜか少し薄けて見えるブラウスを着ている。あれでは下着が見えるではないか?意識しておそらく着ているには違いなと思うがあまりそちらは見ないようにして相手の顔とか目を見るようにする。

 すると、その「川原」さんはウィンックを返してきた。いやいや違いますから。まだ出会ってからそれほど月日も経っていないのでお互いどういう人間か分からないですから。

 とにかくこれから希望に燃えて夢に向かっていくのは悪いことではないと思う次第である。


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ライトノベル作家を目指していたんだが気が付くと8050問題になっていた。 よねちゃん @setsuo

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