良好な関係
放課後の教室、窓際の席で君が眠っていた。僕は誰もいないことを確認して、君に近付いた。君の顔が、肌が、まつげの輝きが、僕の脳内に直接刻み込まれていく。震えた手で、君の頬にそっと触れる。僕の心臓は、うるさいくらいに音を立てていた。
君が身じろぎをした。僕は慌てて、頬に触れていた右手を急いで背中に隠した。
君のまぶたが、ゆっくりと開いた。
「おはよう」
君は何度かまばたきをして、体を起こした。
「おはよ」
「こんなところで寝てたら、襲われるよ」
君から目をそらして、自分の机に向かいながら、吐き捨てるように言った。
「まぁ、僕だったからいいけどさ」
君の方を一切見ないで、用もないのに筆箱を開けた。
「ちょっとはその無防備癖直しなよ」
君の方を振り返って、笑顔を作る。
「心配してくれてるんだね、ありがとう」
君の偏屈無い笑顔は、また僕の首を絞めた。
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