氷
『明日、話したい事がある』
昨日届いた彼女からのメッセージは、僕らの終わりを告げていた。
会ったのは数ヶ月前、メッセージのやり取りも、その期間から止まっていた。ついに来たかと思いながら、僕は指定された喫茶店に向かった。
「待った?」
「ううん」
昔のように話さなくなった僕らの間には、不穏な沈黙だけが漂っていた。
僕は抹茶ラテを頼み、彼女はアイスコーヒーを頼んだ。氷が溶け始めて味が少しうすくなった頃、彼女が話し始めた。
「別れよう」
彼女の声に、予期していた絶望がさらに深くなって、心を刺し殺した。まるで、永遠続く暗くて深い沼に沈み込んだみたいだった。
「うん」
僕はそれだけ言って、抹茶ラテを飲んだ。
完全に氷が溶けた抹茶ラテは、味の原型を失っていた。
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