第5話 節約

話は180度変わるが「節約」

この言葉を聞いて、人は一体何を想像するだろう。


ネガティブに考えれば

・大変

・貧乏

・せこい


ポジティブに考えれば

・エコロジー

・貯金ができる

・しっかりしている


ざっとこんなもんだろうか。


当の私、冒頭申し上げた通り、働くことを許されない身となりました。

それがいつまで続くのかも分かりません。毎月定期的に入って来ていたお給料が口座に入ってこない。


それってめちゃくちゃ不安やーん!


始めはそう思っていたけれど、この際、思い切って節約を楽しむ事にした。


①食費、日用品を1週間5,000円以内に抑える。

②生理用品を紙ナプキンから布ナプキンに変える。

③コンタクトの定期購入の解約


とりあえず今、思いつく事はこれぐらい。


其①食費、日用品を1週間5,000円以内に抑える。

スーパーへは子供のみ同伴させ(旦那も連れていくと必ず余計なものをかごに入れるから)

そして、太雅に電卓を持たせる。


「いい?5千円以内に収まるように、税込みの金額を打ち込んでいくんだよ。」


太雅「オッケー!任せときぃ!」


この方法で、なんとか1週間を5千円でやりきることが出来た。

まずは第一難突破!



其②生理用品を紙ナプキンから布ナプキンに変える。


いざナプキンを作ってみると、これがもんのすごく楽しい。

ミシンをカタカタ・・・・・。慣れない手つきで眉間にはシワが寄っていたらしい。


幸に

「ママ、顔こわ~い。」


「え!あ、真剣になりすぎてた。気にせんで。全く怒ってないよ~」

ミシンを止めて、幸に笑顔を向けた。


「ねぇ、ママ。今作ってるこれなにー?ニコのおむつー?」


う。。違うんだけどな。

太雅も

「何これ。ニコの??」


さすがに男の子には言いずらい。

いや、ちゃんと二人に「女の子には生理があって」というべきか?


いや、そもそもこれはまだ試作品。ナプキンとは到底呼べない見た目!!

立派な、売り物並みに綺麗に作れるようになった時、堂々と「これは布ナプキンよ!」と言おうじゃないのよ!


だが今は、大きな口たたきたいが、我慢・・。

「そう。ニコのだよ~。」

と言うと、


「あっはっは!ニコのだって~あはは~~~~!!」


笑い転げながら私の作った試作品1号のナプキンをぶんぶん振り回す。


ぬぬぬ。。5歳児。それを作るのに何時間かかったか・・。いや、5歳なんだから!抑えて抑えて。。


そんなとき、携帯が鳴った。

私の携帯がなるのはものすごく珍しい。


ニコがワンワン吠えるので、すぐにリビングから離れて別室へ行った。

「はい。北川です。」


「スタッフリワークの岡山です。大変お世話になっております。その後、お仕事はどうですか?今、ご就業中ですか?」


~ふっ。ご就業中じゃなくて、精神を鍛える『ご修業中』の身よ私は。~


「すみません。せっかくお電話頂いたのに、しばらく事情があって働くことができませんので、また働けるようになりましたら、こちらからご連絡致します。」


丁寧にお断り。


話しが終わりプツっと電話を切る。


その③コンタクトの定期購入の解約

薬の副作用で眠気が凄かった私は、コンタクトをしているとすぐにうたた寝出来ない事に不便を感じていた。でも眼鏡だったらすぐ寝れる。それに気づいた私はすぐに眼科へ。


「すみません。解約したいんですが。」


男性店員「分かりました。ですが既に次の月の分まではお支払い頂いているので、ご自宅へコンタクトが届くと思いますが、それで最後となります。宜しいでしょうか。」


「はい。大丈夫です。」

その時、たまたま机の上のコンタクトの種類が載ったパンフレットが視界に入った。


「今使っている色なしのコンタクトとカラーコンタクトは価格が一緒なんですね。最後に届く分をカラーコンタクトに変更は出来るんですか。」


すると、店員は苦い顔をして

「変更は出来ますが、お勧めはしてません。酸素透過率がクリアコンタクトの5分の1まで下がるんです。酸素の量が減ると、その分、瞳に負担がかかります。ですので、お勧めはしておりません。」


そうなのか。でも、付けてみたい。どんなモノなのか試してみたい。

その好奇心の方が強かった。

「私、持病を持ってまして、一日の大半寝ているんです。朝ご飯食べて寝て、昼食べて寝て、夕方寝て、また普通に夜寝る。調子がいい時が滅多に無くて、でも、たまに調子がいい時、その時ぐらい、2,3時間ぐらい付けて、おしゃれを楽しみたいなと思って・・。」


私の言葉を聞いて、それまで苦い顔をしていた店員が

「たまにつけるぐらいは全然問題無いですよ。つけて帰られます?」


不憫に感じたのだろう。変更もすんなりしてくれて、コンタクトまで一つ頂いた。


「ありがとうございます。」


「いえ、お大事に」


そして私は眼科を後にした。

間違った事は言ってない。普通に話したつもりだったが、店員さんには気の毒に思えたのだろう。『せめて、起きていられる時間だけでも、おしゃれしてください!』そう心の声が聞こえてきそうなぐらいの声の強さがあった。


可哀そうなんて思われるの大嫌いだけど、情の深い良い人だったな。


36にして初めてのカラコン。

家に帰って鏡を見て、「おぉ~」と思わず声が出た。

黒目の部分が2周りぐらい大きい!!!


なんだかテンションが上がった1日であった。

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