第127話魔導協会会長バラキ

この街の処刑台に吊るされたラージとサイリス。二人は力無くグッタリと繋がれている。

そして皆の前に登場したのはこの魔導協会のトップ恐るべき男である『バラキ』の姿。

「いい?みらい君…あのバラキとまともに戦おうとしちゃダメよ…仮にも彼はこの世界最強とも呼ばれる男…隙を見て二人を助けたら…一度ひくわよ!」

「そ…そんなに……。」

僕もそうは言っては見たものの…確かにあのバラキからはとてつもなく恐ろしい力を感じていたのだ。

すると兵士の声が辺りに響く。

「皆の者静まれ!!!」

辺りはその声にシン…と静まりかえる。

「これより!この魔導協会のバラキ様より有難い言葉がある!心して聞くのだ!」

「「うぉぉぉーーーーーっ!!!!」」

「「バラキ様ーーー!!!!!」」

異常な盛り上がりを見せる兵士達。

そしてバラキは壇上へ立つ。

「「うぉぉぉおおおーーーーーーーっ!!」」

そしてバラキが手を上げるとシンっと静まり返る。

「皆の者…ワシが今ではこの地…いや…地上と言った方が良いか…この世界最強の男…バラキである!!」

「「うぉぉぉおおおおおーーーーー!!!」」

その男バラキはこの国でも力と人気がある男なのだ。

「よいか!?ここに吊るされている者はこの街いや、この国…いや……世界をも揺るがす害悪だ……早々に断罪しワシはこの世界に平和をもたらそうではないか!!??」

「うぉぉぉおおおおおーーーっ!!バラキ様ーーー!!!!」

盛り上がる観衆!!

力あるこの男は悪行を前には出さず正義をこの世界にもたらしてきたという現実しかこの国の人々は知らなかったのだ。

すると観衆の中の数人が声をあげる。

「えっ!?でもあの方って聖騎士『ラージリアス』様じゃないの?」

「あ!本当だ!どういう事なんだろ?」

そんな声がチラホラと上がる。

するとバラキは手を上げる。

彼の代わりに出てきたのは黒犬という名前ではなくラディス。

「よいか皆の者…この男は長年…あの魔幻獣十二魔人の配下としてこの地で暗躍してきたのだ…我々はその事実に気づきそして今日こうして排除する決定をしたのだ。」

「なにっ!?あの魔幻獣十二魔人だって!?」

「なんだよ!俺達は信じていたのに!!?」

何も知らない街中の人々がバラキとラディスの言葉を信じる。

それはこれまでのこの二人魔導協会という聖なる力の賜物だったんだ。

「そうか!聖騎士ラージは聖騎士なんかじゃない!!」

「そうだそうだ!!あの女もそんなラージを助けようと来たんだろ?その女も同罪だ!!」

辺りには批判すらすることもない言葉しか聞こえてこない。

すると…。

繋がれていた処刑台から声が聞こえてくる。

「…かって……な……事ばかり言わないでよ!!」

その大声の主は顔を上げたサイリスさんの声だったんだ。

「なにっ!?」

「馬鹿な!?あの女!滅魔錠をつけられてるのではないのか!?」

兵士とラディスはサイリスを見ている。

「ふん!こんな手錠は…」

パリンっ!!

「ラージが壊してくれたわ!!そして!!」

サイリスさんは槍を召喚する!!

「私の槍…水龍の槍……今こそ力を!!!」

サイリスさんは槍を構え振るう!!

「たぁぁぁーーーっ…今こそ…この力…『氷炎華ひょうえんか』」

サイリスさんの氷がラージさんの手錠を凍りつかせる。

カキーン!!ガチガチに凍りついた手錠。

そして。次の瞬間発火する。

ボワッ!!すると。

カチカチカチカチ…手錠からカチカチと音がする。次の瞬間。

パリンッ!!!

ラージを縛り付けていた手錠が割れ落ちる。

「ラージ!!」

「サイリス!!」

二人は思わず抱き合う。

「あ…あの二人って…」

「やめないかサイリス!人前だぞ。」

僕もダンさんも思わず顔が赤くなってしまう。

するとズシンズシンと足音を立て登場したのはあの!!ねこまだった!!

「ねこまか…。」

「はっ!バラキ様!ラディス様!ここはワシにお任せを!!我が力でこやつらをかたずけて見せましょう!!!」

「うぉぉぉおおおおお!!ねこまさん!!!」

「こないだのようにやっちまってください!」

「ふん!分かっておるわ!!こんなもやしみてーなヤツらにワシが負けるわけないだろ!?」

するとバラキは椅子にどかりと座りその光景を眺め始める。

「バラキ様…ワシが今こやつらを片付けまするゆえ。」

その時!!!

「ちょっとまったーーー!!!!!」

僕が闇犬の前に立つ。

そしてバラキの前にはダンさん、レイオール、そして僕の隣にはレーミアちゃんとベレッタさんがいる。

「お前達魔幻獣十二魔人はもうここで終わりだよ。」

僕の言葉に辺りは静まる。

そして一陣の風が吹いたのだった。

戦いは更に白熱していく!!

お読み下さりありがとうございました!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る