第65話アースウェル城牢にて。

僕達はウェザルーク王の何かの間違いにより牢へ幽閉される事となってしまったのである…。

確かに風雅さんは魔幻獣十二魔人の一人となり邪馬国を攻め込み滅ぼそうとした。

だけどそれには深い理由があり致し方なかった事なんだ。

その話を事細かく話したはずなのだが…。

僕らは一旦牢で大人しく誤解が解けるのを待つしかない状況に陥る。

するとコツコツと誰かの足音が聞こえ近づいてくる。

(誰だ?兵士……かな?)

よく周りを見ると数箇所に鉄格子はあり僕が入ってるのもその一つである。

「フレアース様?」

僕の問いかけに静まり返り誰の声も聞こえなかったのだ。

薄暗い牢の内部、だが…もしかしたらこの付近には僕しか居ないのかも知れない。

だとしたらフレアース様達は一体どこに連れていかれたのだろうか…。

あの時きっと暴れ回ったとしてもどうにもならない状況…。

しかも僕の性格上…余計な争いを率先してしようとは思わない。

(きっとらいとなら暴れるんだろうけどね)

するとこちらへ近づいてくる足音が聞こえ、その者の声もする。

「しかし…王もなんだってこんなに急に来てくださった客人を牢へ閉じ込めたんだ?」

「そうだよな…しかも一人はあの炎の魔道士フレアース様だろ?」

「まあ俺達には理由も分からぬし王の命だから仕事をこなすしかないけどな。」

男二人の声はきっと牢を見張る兵士達であろう。

僕は更に聞き耳を立てていた。

すると兵士達に何者かが接近してきた様子だ。

「捕らえた罪人達はここにいるのか?」

「はっ!これは騎士団長様!確かにここに。」

そんな会話が聞こえたかと思っていると…僕の前に現れたのは初めて見る顔の者だったのだ。

「さて…君の名を聞こうか?」

僕に声をかけてきたのは騎士団長と呼ばれた者だったんだ。

「僕はみらいと言います!フレアース様の弟子でもありこれまで魔幻獣十二魔人とも戦ってきた者です。」

「そうか…話はある程度聞いては来たんだが…君があの風雅を倒したと言うのは本当かい?」

「ええ…そうでもしなければ邪馬国は滅亡してしまう所でしたのでやむなく。」

僕を見る彼は冷静に話を聞いていた。

「それでこの国にはその風雅を復活させる為に来た…と?」

「そうです!僕達は一度は悪の道に入り込み大変な事をしてしまった風雅ですけど…きっと…世界の為に動いてくれるのではないかと…。」

僕の顔はきっと陰り暗い表情をしていたと思う。

「いいかい?君達が来る前に我が王の所へ魔導協会より使者がきてね…君の今の話が本当ならば使者は君達の罪の虚偽の話をしていったのだよ!」

「えっ!?」

「一応我が王とてこの大大陸の王をしている…自分だけの考えだけでは動けないのが実情だ…政治とはそういう物だ…それを知っているフレアース様もおとなしく今は幽閉されたのだろうね。」

「なるほど…。」

「ただ暴れるだけでは世の中どうにもならないからね!それならモンスター共と何も変わらなくなってしまう…我々は考えられる者達なのだからね!」

そういうと彼はふむ、といった顔をする。

「実はね…我が王も魔幻獣十二魔人は敵と認識はしているんだ…そして魔導協会は世界に認定されている組織でこの世界では政治の歯車の一つでもある…この二つが裏で繋がってるのでは無いかと王も考えてるのだよ…だが世界の魔導協会でもあり下手に色々探る訳にはいかぬしとりあえずは動きを見ているというのが我が王の本音でもあるのだ…まずは君達にもそれを理解してほしい…。」

「それは王の言葉…なんですか?」

「そうだ…私は王直属の専属女性騎士『ネージー』以後よろしくな!」

「女性…だったのですね!失礼しました!」

「あはは!よく男に間違われるがこれでも性別は女だ。」

気のいい女性騎士団長『ネージー』は僕にそういうとまずはゆっくり休む様にといいこの話を皆に伝えてくるといい僕の元を去ったのだった。

その日の夜の事…僕はふと目覚めた…すると風雅の変わり果てた姿である光る玉が更に光を増した事に気がついたのだ。

「あれ?いつもよりも光ってるみたいだ。」

すると光は徐々にその輝きを増し僕の目の前には光に象られた風雅の姿を見たんだ。

(みらい…お前達は俺をまだ救おうと言うのか…。)

(うん…そうだよ……フレアース様もダンさんも…そして飛鳥さんも…その為にここに来たんだ。)

(そうか…ならば再び…俺は……。)

そこまで僕は風雅と夢の中で話したのかも知れない。

それからどれくらいの時間が経ったのだろう…

何度目かの朝日を僕は迎えると兵士が僕の鉄格子の扉を開いたのだった。

「出ろ……王から話があるとの事だ。」

僕は兵士に連れられ王の待つ王の謁見の間に連れていかれたんだ。

僕が辿り着くとそこにはフレアース様…ダンさん…そして飛鳥さんの姿もあったんだ。

「「みらい君!!」」

皆が僕を呼ぶ。

そして、僕は王の前に座り顔を上げると僕達をウェザルーク王はその鋭い目で見ていたのだった。

みらい達ははれて王の誤解が解けたのだろうか?

そしてこれから一体どうなるのか!?

お読み下さりありがとうございました!

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