第8話獣人キューズ

らいとの猛攻撃!!ラッシュ攻撃にボコボコにされたキューズは吹き飛び酒樽の山にぶつかり酒樽をその身体で破壊する事になる…。

「やった!」

「凄いわ…。」

「おおおおっ!!」

皆の喜びの声に僕も安心していたんだ。しかしらいとを見ると彼は冷や汗をかきながらキューズの方を凝視している。

「らいと!どうしたの?」

そんならいとからキューズに視線を移すとキューズはふらふらと立ち上がり身構えると力を貯めている。するとキューズの身体からドス黒い煙が立ちこめてきた。そしてキューズの身体は変化していく。

「獣人化!!うがあああ!!」

キューズの顔と身体は毛で覆われていく。ひょろ長いシッポが生え、みるみるうちにその容姿をネズミと人の融合体つまりネズミの獣人へと変化させたんだ。

「あいつ…獣人だったのか…。」

らいとの声に僕は身体が震えだす。恐ろしい姿のキューズに思わず目を奪われてしまう。

「あれが?近頃この辺りで噂になってる山賊キューズか!?」

突然僕達の後ろから聞き覚えのある声がする。振り返るとそこにはダンさんが立っていた。

「ダンさん!?どうしてここに?」

ダンさんの登場にびっくりしてしまう。

「ああ!保護していた雀ちゃんが逃げたってシャノワールから連絡がきたんだが後を着いてきたらそこの賞金首と君達が居たって訳だ。」

「そうだったんですね!」

僕が納得しかけているとらいとが食いつく。

「おっさん!?あいつの事…知ってるのか?」

「ああ…最近私達の街でも悪い噂になっていてな…賞金首山賊キューズか…探す手間が省けたよ。」

ダンさんは僕達を手で止めるとキューズの前に立つ。すると、村人達がダンさんの話をする声が聞こえてきた。

「あれってドリームソレイユのギルド団長ダンか…。」

「ギルド最強と言われている男…か。」

「彼ほどの男が来てくれたらもう安心だ!」

ダンさんはこの村でも凄く有名らしい…。さすがダンさんだ。ダンさんは辺りを見渡すとすずねちゃん親子を見つけ歩み寄り声をかける。

「君達がすずねちゃん親子だね!もう大丈夫!後の事は私達に任せておきなさい。」

「ありがとう…ございます…。」

すずねちゃん達もほっとした様子だ。

そしてダンさんは立ち上がりキューズを睨みつけ一歩ずつ近づいていく。

「なんだ!?てめえはどこかで見た事あると思ったら確か…この辺りじゃ最強説のある男…【炎龍のダン】か?」

炎龍のダン…それはダンさんの強さの異名なんだろうな。こないだは強さの全ては見れなかったけど今回は見れる気がする。

「お前ら悪党の話題に登るとは私も光栄だがな。だが私がきたからにはここで悪行も終わり…だ!!」

ダンさんはそう言い放つとキューズに攻撃をしかける。ダンさんの戦い慣れしたパワーの攻撃!らいとのしなやかさとは違うパワー重視の攻撃だ!!

「チッ!しつけーぞ!!」

キューズは避けようと低姿勢をとりダンさんの攻撃を避けようとかわす!するとダンさんはキューズの逃げる方向を予測し追撃する!

「甘いぞ!くらえ!!」

ダンさんが思い切り握った拳をキューズの身体に打ちつける!するとドカンという音をさせ身体を歪ませる。キューズの顔が苦痛に歪む。

「ぐっ!!がはっ!!……くぅ〜!!効くぞ…さあ!もっとこいよ炎龍のダン!」

キューズは負け惜しみともとれる言葉を吐き捨てる。

「私の攻撃で立っていられるとは中々やるな…では本気を出していくぞ!!」

ダンさんがキューズを打ちのめしていく。キューズの身体は見るからに押されダメージは蓄積していきフラフラしている。

「いくぞ!トドメだ!!」

ダンさんが叫ぶ!そして出るか!?スライム討伐の時に見たあの技が!!

炎龍爆砕滅ほうりゅうばくさいめつ!!』

決まった!!見ていた皆がそう思い歓声があがるかに見えた!!だがその時…キューズはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

鼠獣奥義きゅうじゅうおうぎ窮鼠きゅうそネコカミ!!⠀】

キューズの身体から大きなネズミの幻影が現れ…そして…。

「ぐはっっっ!!」

ネズミの幻影はダンさんの炎の龍を吸い込むと更に大きな炎を纏わせたネズミの幻影はダンさんに襲いかかったんだ!!

「ぐわああっ!?」

ダンさんを巨大な炎のネズミが噛みつき炎を更に増大させる!

「ダンさん!!」

「おっさん!?」

僕達はダンさんに駆け寄る。ダンさんは自分の炎をくらい倒れてしまったんだ。

「ぐっ!すまない…あいつは基本的には強い敵ではない…だが…油断した…。」

「だが…そう…俺様の能力は窮鼠猫を噛む、相手の力が強ければ強いほど俺様の能力は最大限に生かされるのさ…。」

ダンさんの言葉に続くようにキューズは語る。

「だから…俺様は最強の名を思う存分発揮できるんだ!どんな強い奴でも俺様に勝てる奴なんていねえ!」

キューズは叫ぶとすずねちゃん親子を見ている。

「さあ…娘は俺様の為に雀の涙を!そして母親のお前は俺様の女としてこれからは生きていってもらおうか!?あは、あははははは!!」

「くっ!化け物!!」

「ママ!!ダメ!僕は我慢するから…村の人達もお兄ちゃん達も…もうこれ以上…皆…皆…傷つかないで…。グス…ぅぅぅぅ…。」

すずねちゃんが涙を流すと…目から数粒の涙が…そして涙は床に落ちると固体となりキラキラ光る宝石に変わる。

「おっ!?おおおおっ!!早速、俺様の為に【雀の涙】を生み出してくれるとはな…。できた娘だ!あーっはっはっはっはー!!」

僕は悔しくて震えが止まらない!すずねちゃんの父さんは倒され村の人達もこんなに傷つきダンさんまで勝てなかった…そしてすずねちゃん親子がこんな奴の為に生きていかなきゃいけないなんて…。すると…らいとは僕に片手をさし出してきた…。

「俺達がやるぜ!!あいつはこのままにさせるか!!」

僕はらいとの手にハイタッチする。

パーンッ!!

僕は改めてキューズを睨む。

「もちろんだよ!!」

「キューズ!!僕達がお前を倒す!!」





お読み下さりありがとうございました!!

特殊な能力を持つ獣人キューズ、ダンさんを倒す程の相手にみらいとらいとに勝てる希望はあるのか!?

そしてすずねちゃん親子の行方は!?

次回作をお楽しみに!!



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