第5話ギルド

朝目覚めると知らない部屋のベットで寝ていたんだ。

「ふわああ…ねむ…。って!!」

眠い目を擦ってマジマジと周りを見回す。

「やっぱり僕…異世界転移してるーーー!!」

驚いて叫ぶと家の中いっぱいに僕の声が響き渡る。ぷるぷる震えていると隣の部屋のドアが開く音がして足音が近づいてくる。そしてドアが開くとらいとが入ってきたんだ。

「どうしたみら!?」

そういえば…ダンさんにこの家を貸してもらって色々揃えてお掃除して…僕達はここで生活を始めたんだ。

「おはようらいと!まだ異世界転移した事信じられなくてさ…。」

「まあ、普通はな、でもこれは事実だし何とか暮らしていこうぜ!」

さすが、らいとの適応力は凄いと思う。僕はポケ〜っとしていると。

「そういやダンさんが言っていたギルドって所に行ってみないとだな?」

「そうだね!じゃあさ準備したら早速行ってみようよ!」

僕達は準備して街に出ることにしたんだ。もちろんこの世界の街人にあわせた服をダンさんからいただいたし違和感のない服に着替えたのだ。

「おおっ!これはファンタジーって感じの服だぜ!」

「これならこの世界でも違和感なく暮らせそうだね!」

「おう!じゃあ早速ギルドに行ってみるか!?」

僕達の住む町の名は【ドリームソレイユ】というみたい。お城もあり大きさはこの世界では並の大きさだそうで周りには自然もある豊かで比較的平和な城下町らしい。道路は馬車が走り店も服屋に食べ物屋、僕達の世界には無いものは武器防具道具屋等ファンタジー系の店だ。暮らす人は普通のヒューマン、猫耳を頭に生やした少女は…獣人…なのかな?…ローブに身を包んだ魔道士のような姿の人もいればモンスターっぽい姿の人もいて色々な種族の人達が歩いていたり商売もしているようだ。らいとは物珍しくキョロキョロしながら歩いている。僕はといえば…ダンさんから貰った地図を見ながらギルドの建物を探している。

「らいと!次の道を東に曲がるらしいよ。」

「おう!わかったぜ!みら!?しかし…ファンタジーの世界か。見てるだけでおもしれえよな!」

「はあ…らいとは本当に何も考えてないよね…僕なんてこれからどうしようとか……クドクド……」

僕が細かい話をし始めるとらいとは何かを発見したみたいだ。

「みら!ギルドってここじゃねえか?」

「えっ!?」

地図を閉じて目の前にある建物を見上げると見た目は酒場の様なそれでいて大きめな建物が立っていて入り口の上に取り付けてある看板には【ドリームソレイユ‐ギルド】と書かれていた。

「ここだな!?入ってみようぜ!?」

「うんっ!」

僕達はダンさんがギルド長をしているというギルドという仕事を紹介してくれる建物に辿り着いたんだ。中に入り辺りを見回すと、中には屈強な男達、闘い慣れたような女性などいかにもこれから闘いに行くぞと言わんばかりの人達で溢れている。

「うわあ……ギルドってやっぱりこういう場所だよね?」

「ああ…そりゃそうだろうな。遊びで来てるのか?って奴はほぼいねえだろうな…。」

僕達がそんな話をしてると一人の大男が前から歩いてきて僕の肩にぶつかっていった。

「うっ!いたっ!!」

「おい!弱そうなガキがここで突っ立ってるんじゃねえ!」

ムキムキでいかにも戦士みたいな男が僕に向かっていきごんでくる。手首を掴まれ僕の体は浮かされる。そして男は罵声をあびせてくる。

「痛いって!離してよ!」

「ああっ!!てめぇみたいなガキには教育してやらねえとな!?」

男は怒りのままに叫ぶ!

「くっ!なんて奴…」

僕は悔しくて震えていると男の後ろで一瞬何かが光った。すると突然男の動きは止まる。目をカッと見開き白目をむき口から泡をブクブク出してそのまま倒れてしまった。僕を掴んでいた手もダラりとさせ僕は床に落とされる。

「いってて……。」

「みら!?大丈夫か?」

僕の元へらいとが寄ってくる。するといつの間にか僕達を囲むかのように人だかりが出来ていた。

「あれ!?らいと…僕は大丈夫だけど…これどんな状況?」

「ん?あはは!そうなっちまうか…」

僕達が話していると周りでガヤガヤこちらを見ながら話をしている。

「あいつ……化け物か。雷使い…だと。」

「弱そうなのに只者じゃねえぜ…。」

「人間なのに凄い魔力を感じたわ…。」

そんな声が周りから聞こえてくる。僕はそれでやっと気がついたんだ、今助けてくれたのはらいとだったんだ。でもこんなに目立ってしまった…。僕達がこの状況から逃れる術はあるのかな…?僕がそんな事を考えていると人だかりの奥から女性の声が聞こえてきた。

「ちょっとあんた達!うるさいわよ!」

誰だろう…強そうなお姉さんって感じの声が聞こえてきたんだ。僕達が声のする方を見ていると声の主はきらびやかで色っぽい素敵なお姉さん。そして人だかりはお姉さんを僕達の元へ誘導するようにその道を開けた。お姉さんは僕達の元まで辿り着くと声をかけてきたんだ。

「あら?見ない顔だけど君達初めてこのギルドに来たのかしら?」

「はい!僕達はダンさんの紹介でギルドに来ました!」

僕のその言葉に目の前の彼女の眉はピクリと上がり周りの冒険者達の反応は変わる。すると目の前の女性は口を開いたんだ。

「なるほど!ダンが言っていた二人の新人冒険者さんってあなた達の事だったのね!」

「はい!僕はみらいと言います!よろしくお願いします!」

僕が挨拶をすると笑顔で彼女は答える。

「よろしくね!みらい!そして…隣の君は…」

「俺はらいとだ!よろしく!」

らいとの全身をジロジロ見ながら彼女は言葉を続ける。

「あなたがさっきの魔力の子ね…。まあいいわ。」

彼女は髪をかきあげると自己紹介をしてくれる。

「私はこのギルドで酒場イルーダというBARをしているシャノワールよ!よろしくね二人共!」

「よろしくお願いします!」

僕達は改めて挨拶をするとシャノワールさんはカウンターに呼んでくれてギルドの話を聞くことにしたんだ。

「それで…ダンからどこまでギルドの話は聞いてきたのかしら?」

「いや…とりあえずここへ行けと…」

僕はどうしても正直に話してしまう。こんな時も正直に言っちゃうんだよね…。

「ふふ…まあそうなるわよね、ごめんなさいね。ダンはギルド長もしてるけど他にも店とか色々していてね。中々忙しいのよ。」

シャノワールさんはそう言うとため息をつく。

「いえいえ、大丈夫です!でも僕達はこの街に来たばかりだしここで暮らす為にもお仕事もしないといけないしどうしたらいいかよくわかってなくて…。」

僕は不安げに話すとシャノワールさんはカウンターから出てきたんだ。

「ちょっと待ってて…。」

シャノワールさんは一言言い残し掲示板の方に歩いて行ってしまったんだ。僕達が出してもらった飲み物を飲んでいると彼女は戻ってきて目の前のカウンターに一枚の紙を置いたんだ。

「いい?ギルドにはこういう依頼書という物が張り出されているの。受けたい依頼の貼り紙を私の所に持ってきてくれたら仕事を受けれるようにしてあげるわ!」

「なるほど…説明ありがとうございます!」

「じゃあ俺ちょっとその依頼書ってやつ見てくるぜ!」

らいとは席を立ち依頼書を見に行ってしまった。らいとはこんな時でも好奇心旺盛だなあ…そんな事を考えながらシャノワールさんとたわいもない話をしていると数分後、らいとが戻ってきたんだ。でも…らいとの様子がおかしい…。

僕とシャノワールさんがらいとを見ると……。らいとの頭の上に何かがとまっていたんだ…。

「なにそれらいと!?」

らいとは僕達の目線が自分の頭の上にあることに気づき頭の上の何かを捕まえたんだ。そいつを目の前に下ろすとらいとは叫ぶ。

「な!なんだこいつ!?」

「えっ!?ええっ!!??」





ユメカナッ!!第五話お読みいただきありがとうございました!!

みらいとらいとに何が起こったのか!?

次回をお待ちくださいませ!l

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