第4話 お見合い
「・・・・・・」
「・・・・・・」
互いに見つめ合い数分が経とうとしている。何も話すことが出来ないこの空間には俺が規則的なリズムで呼吸をしている音しか聞こえない。
それくらい静寂に包まれているという事だ。やばい・・・・・・緊張して目を合わせれない。
「あ、あの」
「は、はい!」
「今日の事は何か聞いていますか?」
「い、いえ。何も・・・・・・」
「そうですか・・・・・それなら今日の事も」
「今日の事? それよりも俺はこの手紙の事について聞きたかったんです」
その瞬間、海野さんはパン!と手を叩き、
「ああ、それはお見合いの手紙です!」
「はい?」
「あれ、聞いてませんでした? 今日はお見合いがあるって」
すいません。全く聞いてませんでした。
「それはそうと、俺は誰とお見合いする事になっているのですか?」
「ああ、それは私です! だからこうして着物とか着ているのです」
「はあ・・・・・・」
なんか突然の展開で頭が追いつかなってきた。ポストに入った手紙を見つけてそこからここに来て手紙の正体がお見合いで、そのお見合いの相手が俺の気になっていた海野真鈴なんて、こんな急な展開に理解が追いついていない。
「お茶入れましょうか?」
「あ、はいお願いします」
お盆に置いてある湯呑みをテーブルに置き湯呑みにお茶を注ぐ。緑色をしているので多分緑茶だな。
注ぎ終わったら手に取り喉に流し込む。
「美味しい」
「そうですか。嬉しいです。そのお茶私が淹れました」
「コクがあってすごく美味しいです」
さっきまで緊張していた体もお茶を飲んだらすっかりほぐれていた。今ではあまり緊張しずになんとか会話は成立している。
そんな時、海野さんからこんな事を俺に提案してきた。
「少し外歩きませんか?」
外か。さっき案内してもらったけど詳しくは案内されていなから少し興味はある。
「はい、良いですよ」
俺と海野さんは、外に出向き今は歩きながら話している。少しでも海野さんの事を知ろうと俺はその事で頭でいっぱいだ。
どうして俺をお見合いの相手にしたのか分からない。まあそれは、後で聞くとして、でも、海野さんが笑うと俺も自然と元気をもらえるのだ。
今まで嫌だった事や、苦しかった事が鉛のように体に巻きついてきたのがこれが無くなったかのように、それくらい海野さんと一緒にいて楽しいのだ。
「あ、あの・・・・・・」
「はい、なんでしょう?」
「その、今日の晴れ着は少し気合を入れて準備したのですが、どうですか?」
初めて女性の晴れ着というのを見たが花柄の晴れ着が海野さん本人から感じ取る事ができる美貌や魅力などがアクセントをつけて俺の目から感じ取れた。
「私、城道君と話していると楽しいです」
すいません、俺も同じ事考えてましたなんてキザなセリフを入れるわけもなく、俺はこくんと頷いた。
やっぱりまだ、緊張せずに話せるのはもう少し先になりそう。
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