プールサイドで出会った少女はどうやら俺の許嫁だったらしい

桜野弥生

新たな出会い

第1話 初めて会ったあの人は

俺、城道伊桜理は海沿いのある田舎町に住んでいる。夏はセミの声がうるさく、冬は北風が寒かったりとこれといった特徴もないただの田舎町。

今日は猛暑日で夜もなかなか寝付けなかったり、朝起きたらめっちゃ暑かったりと最悪な日だ。

とは言っても今は夏休み。しかし特に何か面白い事もないままただ自分の部屋でぼーっと扇風機に当たる毎日。

もう、毎日暑くて暑くて溶けそうだ。

そんな時、俺の部屋の扉が開き、母親が入室してくる。

「ちょっと伊桜里〜ちょっとは外で遊んできたら?」

「それは無理な相談かも。だって外暑いんだもん」

「それもそうだけど、あんた今日プール当番じゃないの?」

「あ?」

 すっとぼけた返事と同時に俺は今日の日付を確認する。今日の日付は八月一日の午後一時。そしてプール当番の日が八月一日の午後一時半。

 その二つを照らし合わせた時、俺は飛び起きた。

 夏休みの間学校のプールを開放するからその当番をくじ引きで決めて俺になったんだった。

「やべ! 今日だったー!」

「だーから言ったでしょ!」

 とりあえずかばんに色々荷物を入れて家の隣の倉庫にある自転車を出して急いで学校に向かう。

家から学校まで自転車で約十五分。プール当番の時間まで後約三十分。なんとか間に合う位だろう。

「急げ急げ」


 なんとか学校のプールまでたどり着いたが、息が切れて苦しい。

 出来るだけ立ち漕ぎをしながらだったためか、それとも日頃の運動不足のせいなのか、まあ、両方該当すると思う。

「なんとか、間に合った」

 自転車を駐輪場に置き、靴からサンダルに履き替えてプールサイドに向かう。

「暑い・・・・・・」

 直射日光もいい加減にしてほしいくらいの暑さだった。

 そのせいでプールサイドのタイルもかなり高温になっている。試しに手を当ててみると・・・・・・めっちゃ熱かった。

 とりあえず水を撒いてタイルを冷やそうと思ったその時だった。

 プールの水がバシャバシャと暴れる音がしたのだ。

 その方向に目を向けると、そこには、

「あ、あの・・・・・・」

「ん? 何か?」

 透き通った肌、整った顔立ちに琥珀色の髪の毛。平常心を保つ事なんて到底できなかった。俺はただその美貌に魅了されていたのだ。

 琥珀色の髪の毛を靡かせながら、彼女はこうつぶやいた。

「今日は良い天気ですね」

 この瞬間俺は、海野真鈴の魅力にただ釘付けになったのだ。

 







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