【 17歳の恋 】


美沙みさちゃん、いいよね……?」

「で、でも……、健太郎けんたろう先輩のお母さんが下で……」


 彼は、ベッドの上に座っている私の隣で、長い髪を右手で撫でながら「大丈夫だから」と言って、ゆっくりと私を横に寝かせた。

 彼の顔がすぐ近くある。息がかかるくらいの距離でもう一度彼が言う。


「いいよね、美沙ちゃん……」

「う、うん……」


 そう小さくうなずく。

 火照る顔、心臓の鼓動が彼にも伝わっているだろうか。


 彼は、いつものようにアヒル口になりながらやさしい笑顔を見せている。

 彼の顔が、ゆっくりと斜めに傾きながら近づいてくる。

 その瞬間、私は思わず、目を閉じた。


 初めて重なったふたりの唇……。


 私はこの時、まだ17歳、初めての恋だった……。



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